シネマの前で待ち合わせ

元TSUTAYAスタッフが映画のあらすじや感想を備忘録をかねてつづっています

名作を見よう!【映画感想】告発

中古DVDにて。

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原題:Murder in the First

 

【あらすじ】

ヘンリー・ヤングは、10歳の時に両親が亡くなり、幼い妹の世話を見てきた。

17歳のときに店に職をもらいに行ったが断られ、仕方なく5ドルをレジから盗んだ。

その店は郵便局も兼ねていたため、連邦罪が科せられた。ヘンリーは捕まり、妹は孤児院へ。その後、アルカトラズに収容され、脱獄を計り、失敗し、裏切り者のマッケインを食堂で殺害する。第一級殺人の罪に問われたヘンリーを弁護士のスタンフィルは助けられるのか?

 

【感想】★★★★☆

原題の訳は「最初の殺人」

murder in the first degree で、第一級殺人となるようで、そこにもひっかけてるのかも。

「告発」の方がわかりやすくていいですね。

 

これは、大昔に見た映画。すっかり内容を忘れていました。ヘンリーとともに泣きましたね。最初の虐待シーンが痛々しい。キリストの受難を描いたパッションという映画を思い出しました。キリスト教を学ぼうとして見ようとしましたが、途中でリタイア。見てられなかった。

今回のものは虐待シーンが短いのでなんとかクリア。でも、ちょいスプラッターなので苦手な方は注意が必要です。

 

真実に基づく映画とのことですが、調べてみるとその純度は50%くらいのもののよう。ヘンリーはもっと悪い奴みたいですね。銀行強盗をやらかしています。

そもそも純度100%のドキュメンタリーなんて存在しないと思っています。どうしたって監督の演出や編集が入るし、現実をそのまま切り取るなんて不可能。ナレーションにも大きく左右されるので、私はあまり見ません。それならフィクションの方が楽しい。作品の中で辛い出来事があっても、「これはフィクション」とセルフマインドコントロールできるからね。

逆に言うと、100%フィクションもないと思います。どうしたって作り手の人生が入り込むから。

 

それにしても、ケビン・ベーコンの演技のうまさ。素晴らしいですね。クリスチャン・スレーターも若くてキュートだし、ゲイリー・オールドマンは安定のバイプレーヤー。レオンも告発も、どちらも1994年の映画ですが、レオンの日本公開が一ヶ月ほど先なんですね。告発の方が古いと思っていました。

ゲイリーの副所長は、ちょっとサム・ロックウェルっぽいなと思いながら見ていました。リチャード・ジュエルでは弁護士役でしたが、実話をもとにしたクライム映画という共通点があります。そのシーンをところどころ思い出しながら鑑賞。

そして、服装から、ジョニー・デップの名作、ニック・オブ・タイムを思い出します。これもハラハラドキドキの代名詞のような作品で、ブログは書けていませんがオススメです。

 

気になったのが、スタンフィルがちゃんと「I would like to」と発音していたこと。年代のせいなのか、職業とその状況のせいなのかはわかりませんが、wouldの発音をしっかり聞けたのは久しぶりな気がします。今は、書いてもwouldが抜けてますよね。wouldが古いと言われるのはこのあたりのせいでしょう。教科書には今でもはっきり載ってますが。

 

アルカトラズに行ってみたくなりました。ただ、ちょっと怖いけれど。いろんな感情がうずまいてそこに残っているような気がして。

アルカトラズと言えば「ザ・ロック」ですね。ショーン・コネリーの渋さとゴロゴロシーンに鼻血が止まりません。ラストも最高。これもブログ書けてないですが。

ニコラス・ケイジも「ザ・ロック」の中でいい仕事しています。さすがです。でも、ニコラス・ケイジってかなり有名なのに代表作ってないですよね。どれもそこそこ有名でそこそこおもしろい。

 

この先は、ネタバレになってしまうので、未鑑賞の方はご注意ください。

文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、反転させて読んでください。

 

 

いい映画だったという印象だけは残っていたので安心して見ていたのですが・・・。

ヘンリーの獣のような走り方、動物のようなおびえ方。クリスマスに30分だけ外に出されるところ、スタンフィルと友達になりたいんだと訴えるところや、赤ん坊の時に取り替えられてたら・・・と話すところに胸を打たれました。スタンフィルに「同い年だ」と言って、「君は28だ」と告げられるシーンにも。

 

私が陪審員だったら、どっちの判決がいいのか本当に悩みます。アルカトラズに戻りたくないと言うヘンリーは死刑になったほうが幸せではないのかと。でも、陪審員たちはもっと少ない、法廷内だけで提示される情報で正しい判断を下したと思います。

 

花火のシーンで言い争うスタンフィルとその彼女。花火の綺麗さが対照的で切ないです。

ラストは暗いですね。まるで、殺されたかのように描かれています。そこまでするのはどうなんでしょう。アルカトラズの職員たちが完全に悪者ですね。

 

wikiによると、実際のヘンリーは61歳の時に釈放されています。

とにかくいろいろと考えさせられる映画でした。

 

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