行間多め【映画感想】ジョナサンーふたつの顔の男ー
DVDにて。
原題:Jonathan
【あらすじ】
ジョナサンは、建築会社に勤めるまじめで内向的な青年。彼の中にはもう一人ジョンという人格がいて、一つの身体をシェアしていた。ジョンは、ジョナサンとは正反対の性格で、楽観的でチャラい。毎日ビデオを録画し、情報交換をするジョナサンとジョン。
二つの人格は、ルールを守り、上手く一つの身体をシェアできていたが、ジョンがエレナという女性にバーで出会ったことから、ルールが破られ、二人の関係も崩れ始め、やんやんする話。
【感想】★★★★☆
静かで文学的な作品でした。
洗面台を上から写すシーンがきれいだし、カメラワークも、対称、非対称を大事にしてる感じがありました。
木々の緑を写したシーンも綺麗。
ベイビー・ドライバーのときは、アンセルくんはまだ少年っぽさがあったけど、すっかり大人になったなと。
話し方も変えていて、二重人格の演技もうまかったけど、どうしてもスピリットのジェームズ・マカヴォイと比べてしまった。
ほとんどがジョナサン視点だったので、もっとジョンがビデオだけでなくリアルの生活にも出てきたら違ったのかも。
行間を読むのが苦手な人には向いてないなと思った。
わかりやすく説明してくれる映画ではないから。
それから、ちょっとグロいシーンがあるので、苦手な人は注意してください。
30秒くらいかな。
この先は、ネタバレになってしまうので、未鑑賞の方はご注意ください。
文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、反転させて読んでください。
先天的に多重人格って設定だけど、そんな人実際にいるのかなって疑問に思ってカウンセラーの知人に聞いたら、女性でも男性でも本当にいるんだって。
なんでそんなことになる?
遺伝子エラーだろうなぁ。相当大変そう。
普通に生まれたことに感謝しました。
(追記:カウンセラーの知人に聞いたら、「 とのこと。DNAは関係ないらしい。母親の体験が胎児の脳に影響するなんて、興味深い話ですね。かなり稀なケースのようです。稀なケースでなければ、周りの理解もあるので本人の苦しみも軽減されそう。)
一番印象に残ってるのは、ジョナサンが電車に乗って、向かいに座っていた女の子の靴ひもが片方だけほどけてるのが映るシーン。
この監督、いいなって思った。
ジョナサンの状況や心情をよく表していると思いました。
途中、フランス語が出てくるんだけど、ただのフランス語レッスンなのか何か意味があったのか・・・。
「左です」とか「右から二番目です」とか。
ジョナサンはフランスやフランス語に興味があって、ジョンは北欧に興味があってっていう対比だけなのかな。
もしくは、最後にジョンがタクシーの中でフランス語のラジオを聞いて、「音量を上げて」って言う伏線なのか。
あれは、フランス語に興味のあったジョナサンをジョンが悼んでそう言ったのだと解釈しました。
ジョナサンはもういないけど、ジョンはジョナサンなら理解できるフランス語を聞いていたかったのだと。
きっと、ジョン自身はフランス語は全然わからないのでしょう。
エレナにも感情移入してしまいましたね。
彼女も被害者だよなぁ。そんな理由で別れてって言われても納得しにくいだろうし、やるせない。
彼女もシェアしたらいいのに。これはできる人とできない人に分かれるだろうけど。
ジョナサンが消えるのが自然でよかった。医師によって人工的に消されるんじゃなくて。それだと、某ミステリ映画になっちゃうし。
ラストは双子の兄弟が消えていくような感覚だろうなって思った。
そして、あのタクシー運転手さん、状況の把握が早すぎ。
そして、ジョンは空港に向かってたけど、どこに行くんだろう。
やっぱり北欧かな。
ジョンは、しばらく昼間の生活に慣れないだろうけれど、太陽をたくさん浴びて楽しく幸せに暮らせるといいなって思いました。