シネマの前で待ち合わせ

元TSUTAYAスタッフが映画のあらすじや感想を備忘録をかねてつづっています

この結末は読めない【映画感想】シャッターアイランド

DVDにて。

f:id:fu2uki:20190905001940j:plain

 

【あらすじ】

舞台は1954年9月。精神を病んだ犯罪者を収容する病院があるシャッターアイランド連邦保安官のテディは相棒のチャックとともに、脱走した女性、レイチェルの捜索に向かう。

3人の子供を湖で溺死させた罪で収容されていたレイチェルだが、失踪の足取りはほとんどつかめず、靴も履かずに消えた様子はまるで施設の部屋から蒸発してしまったようだった。

テディは彼女の部屋で「4の法則」と「67番目はだれ?」というメモを見つけるが、誰も意味がわからない。主治医のシーハン医師が自分たちと入れ替わりで休暇を取っていると聞いたテディは彼を怪しんで、患者たちに聞き込みを始めるが・・・。

 

【感想】★★★★★

今これ?と言われそうな作品ですが、見逃していたんですよね。
もっと早く見ておくべきでした。

最初から何が伏線なんだろうと考えを巡らせながら見ていましたが、これは読めなかったです。
振り返って考えてみると、ヒントはあるんですよね。
でも、これだけのヒントで真相にたどり着くのは難しいです。

 

印象に残ったのは、初めてテディとチャックが施設を訪れたときの音楽。
クラシカルな感じで耳に残りました。
その後も、何度か繰り返し使われていたと思います。

 

施設の人たちは、院長を始め、みんな怪しげ。
コーリー院長もほかの医師も警備副隊長も、いいキャスティングだと思いました。

 

以下、物語の核心には触れませんが、ちょっとネタバレ気味の感想です。

ご注意ください。

 

二人が施設に入ってすぐに庭で「シー」という仕草をした老婆がとても怖かったです。
見ていればすぐにわかりますが、描写がわりとホラーですよね。
ぼく、死んだ人が見えるんだ。って感じで、ほぼシックスセンス状態ですから。
幻覚だということは、テディ自身も見ている側もわかるのですが。

 

それから、警備副隊長が車に乗りながらテディに神様と暴力の話をするのですが、そのシーンはなんだか小説を読んでいるような感覚がしました。
小説というより聖書の一節といった方が近いかもしれません。
確かに、神様は暴力が好きだなぁと。

 

この先は、ネタバレになってしまうので、未鑑賞の方はご注意ください。

文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、反転させて読んでください。

 

これも、コクソンのように色々な考え方ができる作品ですね。

大きく分けると2通りですが、細かいところは考察のしがいがあって、面白い。

どうやら公式では、テディは病気説が正しいようですが。

施設の陰謀説も魅力的ですが、病気説ほうがピースがぴったりはまるので、それが正解なのでしょう。

 

ヒントは散りばめられてるのに、施設やそこの人たちの怪しさや、事件そのもの、テディの幻覚などが隠れ蓑になって、全然真実が見えてこない作りになっていることにうなりました。

視線やセリフにいくら注目しても、難しいと思います。

一番のヒントだと思ったのは、ドロレスは煙をすって死んだはずなのに、テディが見る幻覚の中でお腹から血を流していたこと。

 

特筆すべきは、レイチェル役のナースの演技。

仮に学生時代は演劇部だったとしても、うますぎでしょう。

いくらほぼ毎日、精神を病んだ囚人たちと接していても、あそこまでうまく模倣できません。

 

灯台でコーリー院長とチャックにネタあかしをされるテディのシーンでは、あんな風に追い詰められたら、正常であっても「自分は精神を病んでいるのかも」と思ってしまいそうです。

唯一の味方だと思っていたチャックがあちら側だと知ったら、精神的にかなりのダメージを受けそう。

 

ラストのセリフはとても意味深で、テディの気持ちやそれを受け止めるシーハン医師の心情を考えると何とも言えない気持ちになります。

ラストの灯台のシーンは忘れられません。

バッドエンドだろうけど、完全にそうとも言えないような・・・。

 

学者みたいな顔してるのに、スコセッシ監督抜け目なしです。