シネマの前で待ち合わせ

元TSUTAYAスタッフが映画のあらすじや感想を備忘録をかねてつづっています

ガイリッチーのアウトレイジ【映画感想】ジェントルメン

DVDにて。

原題:The gentlemen

映画『ジェントルメン』予告編|5.7[Fri] 全国公開 - YouTube

 

【あらすじ】

若い頃からその才を生かして大麻の栽培と販売をしてきたマイケル(ミッキー)。裏社会の王となったミッキーだが、隠居して妻とゆっくり暮らしたいと、引退を決意。巨万の富を生み出す大麻ビジネスをあるユダヤ人の大富豪に譲ろうとするが、そうは問屋が卸さない。裏社会のサメやらドラゴンやら豚やらが噂を聞きつけ、ヤンヤンし始める。最後に勝つのは誰だ?

 

【感想】★★★★☆

同じガイリッチー監督の『コードネーム U.N.C.L.E.(アンクル)』がとても面白かったので見てみることに。スパイアクションのコードネームアンクルとは違い、こちらの方はサスペンス色が強く、アクションは控えめ。というか、ほとんどなし。アクション映画だと思っていたので、ちょっと拍子抜けしましたが、こちらもなかなか面白かったです。3.5ってところだけど、四捨五入して星4つです。

 

まず、オープニングがクールでした。他の方も書いていましたが、007っぽい。もしかしたら同じ人が手掛けているのかもってくらい。話はタブロイド紙に情報を売るフレッチャーがミッキーの右腕レイモンドの家に忍び来み、情報を売りつけるところから始まります。そして、その会話から回想へと進んでいくのですが、その様子がユージュアル・サスペクツを思い出させました。

主役はミッキー役のマシュー・マコノヒーというより、レイモンド役のチャーリー・ハナムだと思います。彼の活躍っぷりといったらないですね。ルパンの相棒、次元並み?彼が中国人のマフィアや突然現れたストリートギャング相手に上手いこと動いて、上手く事を運んでいきます。そして、時々、予想外のことが起こり、ヤンヤンするといった感じ。回想の間には、フレッチャーとレイモンドのやり取りが挟まれるのですが、そのやり取りや、ボクシングジムのコーチの悪口やロザリンドとミッキーの会話がすごい。コーチはラッパーのみたいだし、ロザリンドとミッキーは伊坂幸太郎の小説「陽気なギャングが地球を回す」に出てくる某夫婦みたい。回想シーンでは伏線も張られ、それが順次回収されていくので目が離せません。アクションにくぎ付けになるのではなく、伏線とその回収に気が抜けないという珍しい映画かも。普通、伏線回収は終盤ですよね。それが、中盤から回収されていきます。「この場面につながるのね」と度々なります。登場人物が多いし、それぞれがそれぞれに関係しているし、場面もよく切り替わるので、頭をよく整理しておかないと話がわからなくなりそう。その上、フレッチャーとレイモンドとコーチが似たような眼鏡してるから、一瞬で判断がつきにくい・・・。見てれば、誰だかわかってくるんですが。相関図を前もって見ておくとわかりやすいと思います。相関図を作って解説されているブロガーさんがいらっしゃるのでググってみてください。

ミッキーの妻のロザリンドもクールでした。もしかしたら王に愛される彼女が一番強いかも。彼女は、ウォーキングデッドのローリに似てると思っていたのですが、別人でした。(ローリはサラ・ウエイン・キャリーで、ロザリンドはミシェル・ドッカリー。目元がなんとなく似てませんか?)

 

 

この先は、ネタバレになってしまうので、未鑑賞の方はご注意ください。

文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、反転させて読んでください。

 

 

今回はめずらしくネタバレなし感想に書きたいことが書けたので、ネタバレ感想は少なめです。

 

 

先は全然読めないのですが、フレッチャーの書いた台本=この映画の台本ってことですよね。実話ベースだけど、あくまで映画の台本だよ・・・と。そんなところも含めてユージュアル・サスペクツっぽい。YouTuberが出てきたり、「SNSにアップするよ」と脅したりするところが現代社会を反映しています。それに対して貴族の没落も描いていたりして、イギリス貴族の現実も垣間見れます。それにしても、貴族の娘のローラは死ぬ必要あった?ヘロインの致死率的なものを表現するのと、中国マフィアのすごい嘔吐シーンにかぶせたかったのかもしれないけれど。それにしても、赤痢菌であんなにうまいタイミングでゲロゲロさせたりできるんですかね?しかも、赤痢菌は63℃の熱5分で死滅するらしく・・・。きっと、菌の遺伝子組み換えでもしてるんでしょう。

ローラ奪還のシーンで、レイモンドがローラの仲間の一人に「出身はどこ」と聞いた答えが「ディズニーランド」だったのは、ミッキーにかけてるのかな?気づいたときちょっと面白かった。他にもやり取りが面白いところがたくさんあったと思います。

 

まとめ

(コーチ以外ほぼ)全員悪人という、アウトレイジ的な爽快ムービーでした。

 

 

fu2uki.hatenablog.com

迫りくるゾンビとB級感【映画感想】バイオハザード:ウェルカム トゥ ラクーンシティ

DVDにて。

原題: Resident Evil: Welcome to Raccoon City

 

大ヒットゲーム「バイオハザード」の原点を描くファン待望の最新作『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』4月1日(金)デジタル配信開始 / 5月11日(水)ブルーレイ&DVD発売 - YouTube

BGMがいい感じだけど、見なくても全然楽しめます。

 

【あらすじ】

ラクーンシティの孤児院クレア・レッドフィールドは、アンブレラ社が事故を起こし街に異変が起こっているというメッセージを受け取り、兄にそれを知らせるためにヒッチハイクで戻ってくる。警官である兄はとりあってくれないが、徐々に住人たちは恐ろしい姿へと変貌していく。兄のクリスは、通報を受け、山の上の洋館に向かったまま消息を絶った同僚を探しに行くが、そこでも恐ろしい事態が待ち受けていた。

 

【感想】★★★☆☆

始まり方が、だいぶホラーでした。もともとホラーなんだけど、心霊系のホラーっぽい。その後も、そんな雰囲気がチラホラあります。そして、順調にゾンビが増えていくのですが、それに伴ってB級感も増していく・・・。有名な俳優がいないせいでしょうか。もともとB級だと思ってみるのが正解かもしれません。

原題は、Resident Evil: Welcome to Raccoon City 

欧米ではバイオハザードResident Evil みたいなので、わりとそのままですね。

 

 

この先は、ネタバレになってしまうので、未鑑賞の方はご注意ください。

文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、反転させて読んでください。

 

 

 

とは言え、洋館のあのファーストゾンビが振り向くシーンはテンションが上がりました。ゲームのシーンそのままでよかったです。懐かしい。ただ、玄関はもう少し広かったような?食堂(だったかな?)なんかも再現してくれたらよかったな。洋館がいまいちせまい感じがするのよね。クリスがライターで火をつけるシーンは、緊迫感があってRECを思い出しました。それにしても、なんであの洋館にあんなにワサワサとゾンビがいるのかしら。アンブレラの関係者の洋館ぽいから警察関係者が打たれてたっていうワクチン(?)がそこの人たちにも打たれててもいいような気がするんだけど。ついでに、疑問に思ったこと。アンブレラ社は、ラクーンシティの住人たちをゾンビにしてどうしたかったんだろう。結局街ごと破壊しちゃうし、そのあたりがよくわからなかった。そして、小さい頃のクリスはクレアとは違い、実験台にされなかったのだろうか。ラクーンシティに残ってるから、特に被害はなかったのかな。

 

小さい頃のクレアとクリスが最初に出てくるんだけど、レオンの方が小さい頃のクリスっぽくてちょっと混乱したんだけど私だけかな。クレア役のカヤはタイガー・ハウスやメイズランナー、クロールなんかに出てて、何度も見てるんだけど全然わからなかった。ちなみにタイガー・ハウスもクロールも面白いのでおすすめです。クリスもなんだか影が薄い。

面白いのは署長さん。トラックのドライバーが火だるまになって署内に入ってきたときにかっこよく銃でやっつけておいて、的確な指示を出すのに、そのあとはヘタレ。訳知り顔で頼りになるのかと思ったら、とんだ咬ませ犬です。

地味に気持ち悪かったのが、バーキン博士の実験室にいた、胸を開かれたゾンビ。うごめいてて気持ち悪かったなぁ。バーキンの娘は、色々とトラウマになりそう。

 

続編が作られそうなラストでしたが、私はミラのアリスバイオの方が好きです。やっぱりバイオハザードには派手さが必要だと思いました。とはいえ、続編が公開されたら見るんだろうな。

SFとMF【映画感想】マリグナント 狂暴な悪夢

DVDにて。

原題:malignant

 

【あらすじ】

マディソンはもうすぐお母さんになる予定の女性。しかし、夫はDV野郎でまたちょっとしたことから暴力をふるわれる。後頭部を強打したマディソンは、夫を寝室から追い出し、リビングのソファに寝かせる。夫が一人で寝ていると、ポルターガイストが起こり、いつの間にか後ろに人影が・・・。マディソンも襲われ、気を失うが一命をとりとめて病院に運ばれる。その後、その犯人が殺人をする悪夢を見るようになり、警察に駆け込むが・・・。

 

【感想】★★★☆☆

ジェームズ・ワンのホラーということで気になったので見てみました。「ソウ」は今でも新作ができるくらいの名作だからね。

 

最初の5分くらいは、間違って借りてきたかと思った・・・。SFっぽいんですよ。「これは、エイリアンでは?」みたいな。

思っていたのと違う感じで始まるんですが、徐々にあらすじ通りになります。でも、マディソン、序盤でおもいきり襲われるんですよね。悪夢だけ見るのかと思っていたので意外でした。マディソンが逃げるシーンのカメラワークが面白かったのと、なかなか先が読めない脚本がよかったです。

 

マディはまさにホラー映画の主人公って感じの美人。小さい頃のマディも、ちゃんとマディにそっくりですごい。すぐにマディの小さい頃だなってわかるもんね。ケイ刑事はちょっぴりイチロー似のイケメン。そして、頑丈。アメリカ映画に出てくる人って、どうしてこんなに頑丈にできてるんですかね?クローバーフィールドを見た時からの疑問です。もしかして、アメリカ人がみんな頑丈なの?そして、すごく気になったのが鑑識(?)の眼鏡の女の子。アメリカの刑事ものの連ドラとかに出てきそうな感じで、鑑識ならではの好奇心旺盛な感じがよかった。

そして、途中から助けに入るマディの妹シドニー。この子がまた勇敢で、タワーオブテラーをホーンテッドマンションにしたような廃墟と化した病院に夜中に一人で乗り込んでいくんだけど、よくそんなことできるな・・・と。何か出る気配が満々の中、地下に入り込んでいくのはすごい。朝に行こうよ。無駄に雰囲気のある病院でした。

 

マリグナントは「悪性の」といった意味のようです。「悪性の腫瘍」と序盤から言われるので、これかなと。馴染みのない英単語なので、「狂暴な悪夢」をつけた感じですね。凶暴ではなくて、狂暴。確かにあんな悪夢を見続けたら気が狂いそう。

 

この先は、ネタバレになってしまうので、未鑑賞の方はご注意ください。

文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、反転させて読んでください。

 

 

マディとガブリエルが同一人物だっていうのは薄々気づくんだけど、マディが捕まった時に、マディの家に残っていた逆向きの手の跡の指紋から彼女が犯人だってわかるのでは?と疑問に思いました。指紋調べてないのかなぁ。最初の事件ではマディは被害者だとしても、捕まった時は指紋も調べるんじゃないかと思うんですが。最初のときも女性の刑事さんがDVがあったから、マディには動機があると疑ってたし。

 

一番驚いたのは、マディの実母が屋根裏から落ちてきたとき。そこかい!ってなりましたね。実母さんが監禁されてるのは、どこだろう?とは思っていたけれど。さすがにこれは読めなかったし、落ちてきた場所がマディたちのいるところだったので、びっくりしました。ビデオでガブリエルの正体がわかるシーンよりこっちのほうが意外だった。

 

そもそも、寄生性双生児って実際にありえるんでしょうか。超能力も持ってるし、SFだけでは物足りなくて、メディカル・フィクションも付け加えちゃった感じですね。ガブリエルは電話やラジオを通して会話をしますが、そんなまどろっこしいことしなくてもマディにしゃべらせればいいんじゃないかと思いました。演出なんだろうけれど。それからガブちゃんの身体能力半端ないですね。特に階段を手で降りていくところと、警察署で大暴れしているシーン。バイオのアリスかよ。腕が逆になってるのに、おかまいなして動きます。

 

ラストシーンは意味深ですね。え?ガブちゃん、復活しちゃうの?と不安になる感じでよかったです。その時はその時で、またマディが決着をつけるのでしょう。かっこよく決めセリフ言ってましたから。でも、このままガブちゃんは閉じ込められたままで、マディには幸せになってほしいと思いました。この先、素敵な人と出会って赤ちゃんも授かるといいですね。ケイ刑事といい感じになったりしたらいいんだけど。ただ、マディは罪には問われないんだろうかと心配です。多重人格でも精神鑑定されて無罪になったりするので、大丈夫かと思いますが・・・。前例はないだろうから、裁判はなかなか大変そうです。

そして、肩にトロフィーが突き刺さったままのケイ氏に幸あれ☆

恋は盲目【映画感想】鑑定士と顔のない依頼人

DVDにて。

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原題:The Best Offer

映画『鑑定士と顔のない依頼人』予告編 - YouTube

 

【あらすじ】

あるところに腕は確かだけれど孤独な人生を送っている初老の男性がおりました。忙しくしていると、女性から電話があり、両親の遺品を鑑定してほしいと依頼がありました。彼女のヴィラに行ってはみたものの、あれこれ理由を並べるばかりで女性は一向に姿をみせません。業を煮やした彼は、帰ったふりをしてこっそり彼女の姿を見てしまいます。するとその美しさにたちまち惹かれてしまったのでした。しかし、彼女は広いところに出るのが怖い広場恐怖症という病を患っていました。どうにかして彼女の気を引きたい男は友人の機械職人に相談しますが・・・。

 

【感想】★★★★☆

ずっと気になっていた作品ですが、「スッキリはしない」と聞いていたので、敬遠していましたが、他の人に勧められたので見てみました。ほとんど予備知識なく見始めたのがよかったです。見終わった後は、なんとも言えない感じになりましたね・・・。音楽や肖像画など素敵な小道具が散りばめられていますが、それに気をとられすぎると大変です。

 

途中、機械職人のロバートのアドバイス通りに彼女の誕生日に花を持っていくあたりで完全にヴァージルに感情移入してしまいました。素直でかわいいなと。もう「がんばれヴァージル!」って状態ですよ。それからしばらくは先が読めず、面白かったのですが、ヴァージルが彼女をあの部屋に入れた時点で先が読めました。ヴァージルはずるいことをして絵画を集めていましたが、それ以外は悪い人ではないと思うんですよね。

あれこれ書いてしまうとネタバレになりそうなので、あとはネタバレ感想で。見た後にふと「穴」に気づいてしまったので、それについても書きました。

 

予告くらいの予備知識で見てほしい映画です。

 

この先は、ネタバレになってしまうので、未鑑賞の方はご注意ください。

文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、反転させて読んでください。

 

 

 

ラストはヴァージルがかわいそう過ぎて・・・。ネットで考察をいくつか読みました。

するとハッピーエンドという解釈があるようで少し救われました。

確かにあのレストランで終わるラストは意味深です。監督もわざと含みを持たせるようなラストにしたのだと思います。

 

ハッピーエンドと解釈するには・・・。

まず、クレアが本当にヴァージルを愛し始めていたと考えるところからです。ヴァージルがいるときに出版社の人(?)から電話が入ります。本当はビリーかロバートだと思うのですが、そのときに「結末を変えたい」とクレアは話しています。「明るいエンディングに変えようかと思う」といった内容だったと思います。これが、彼らの作戦の話ではないかと思うのです。彼女はヴァージルを裏切って姿を消すのではなく、他の結末を考えたかったのではないでしょうか。そもそも彼女はこの計画から土壇場でも降りれたんですよね。絵が盗まれても「知らない」と言い張ればヴァージルは信じたと思います。

 

あの秘密の部屋に入った時に、クレアは「この先どんなことがあってもあなたを愛している」とヴァージルに言います。これが彼女の本心ではないかと。だって、そんなこと言う必要がないんだもん。「どんな贋作にも真実が宿る」これがキーワードとなってるからには、何かが真実なんでしょう。

そして、クレアは一度は姿を消しますが、介護施設にいるヴァージルに手紙を出します。ヴァージルの秘書(?)が郵便物や雑誌を届けに来たときにそれも届けられたのではないでしょうか。

内容は、そのあとヴァージルがとる行動から推測するしかないですが、プラハの大きな広場の前のアパートを借りることも、レストランで待ってるのもその手紙に指示としてあったのではないかと。ヴァージルの性格を考えると広間の前に住むなんてにぎやかすぎると思うのです。

ヴァージルがレストランで人待ち顔なのは、本当にクレアと待ち合わせしてるから。誰も来ないのにウェイターに「待ち合わせしてる」と告げるなんてプライドの高いヴァージルがする行動とは思えません。そんな嘘をつく理由もないように思えます。だってだれかが来るまで料理も来ないでしょ?だから、あのシーンの後クレアが現れてハッピーエンドになると解釈してなんとか気持ちをおさめました。

 

とは言え、広場の前のアパートは彼女を見つけやすくするため。レストランでは、彼女が来るのを期待して待っているだけと考えることもできます。このへんのさじ加減にやられたなぁと思いました。

 

個人的にすごくおもしろかったのが、ヴァージルが介護施設で宇宙飛行士が訓練で使うような乗り物に乗ってグッルングルンと回されてるシーン。これまで心をブンブカ振り回されてきたから、今度は身体も回ってるのね。

 

ビリーは黒幕で多分主犯ではあるんですが、ヴァージルに気づいてほしかったような言動をします。「人間の感情も偽造できる。・・・病気も」「会えなくなると寂しいよ」なんて漏らします。どこかでヴァージルに気づいてほしかったのではないでしょうか。

そして、ロバート。彼が一番くせ者。あんなに人の好さそうな顔して・・・。彼も共犯だとわかったときはびっくりしました。でも、うまくヴァージルをコントロールしていたのは彼なんですよね。

 

一つだけこの計画には「穴」があると思いました。それは、クレアが失踪したときにヴァージルが出版社に電話をしているんです。そこで、クレアの正体がばれるように思います。もし、クレアが本当に作家だとしたら出版社の人に「ストーカー被害にあったいるから居場所を教えないで」などとお願いすれば口裏を合わせてもらうことはできそうですが、「作家」というちゃんとした地位を持ってる女性がヴァージルを陥れるような計画に加担するとは思えません。

クレアが本当は作家ではなく、本当に実在している作家=クレアだとしていたら、出版社の人からその作家に連絡がいって、ばれると思うんです。「普通に自宅にいましたよ」なんてことになりかねない。そのあたり、どうやって切り抜けたのかと不思議に思いました。

 

だんだんと組み立てられていくオートマタがヴァージルと重なって、とてもいい演出になっていました。カフェにいる小人症のクレアも、ずっと気になってしまいました。

 

こうしてみるとまんまと監督の思う壺にはまっていますね・・・。

前半もめちゃくちゃだけど後半はよりめちゃくちゃ【映画感想】フロム・ダスク・ティル・ドーン

DVDにて。

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原題:From Dusk Till Dawn 

 

【あらすじ】

弟のリッチーに助けられて脱獄した俺は、よくあるように銀行強盗をぶちかましてよくあるように人質をとって逃げ出した。よくあるようにメキシコに逃げる算段で、そこで待ち合わせに成功すればいいのだが、よくあるようにバカな弟がモーテルで人質を殺してしまった。そこにちょうどよく家族連れの親父がキャンピングカーでノコノコと現れた。早速家族ごと人質にしてメキシコまで道ずれにしたのはいいが・・・。

 

【感想】★★★★★

他の映画紹介をYouTubeで見てたらコメントにこの作品の名前が出てきた。有名だし、よく名前は聞くけど、そう言えば見たことないなと思って鑑賞。

雑貨屋のシーンから始まるが、そこですぐにリッチーの「ぶっ飛んでる感」がよくわかっていい。話が早い。雑貨屋の兄ちゃんはなんにも言ってないのに「助けを求めた」と言ってきかないし、兄であるセスの話にも聞く耳持たないし、情緒不安定にもほどがある。それに対してセスは冷静かと思いきや、さすが兄弟。ぶっ飛んでるところはキッチリぶっ飛んでる。

 

「弟に助けられて脱獄した兄が弟と一緒に銀行強盗してメキシコに逃げる」っていう定型文のような設定なのに、一筋縄ではいかないところがタランティーノ節ですね。

 

リッチーはタランティーノが、セスはジョージ・クルーニーが演じてるんですが、はまり役ですね。ジョージ・クルーニーはどこから見てもかっこよくて、こういった悪役とガンショットがとても似合います。タランティーノ演じるリッチーはよくわからない奴なんですが、ただ一つわかるのはすごく変態ってことです。むしろ変態ってことしかわかりません。そして、ケイト役のジュリエット・ルイスがかわいい。特に後半は違う意味で魅力的な感じになります。詳しくはネタバレ感想で後述しますね。

 

前半もわりとこの兄弟のせいで無茶苦茶なんですが、後半はもっと無茶苦茶です。予告見たりとか予備知識なしで見ることをオススメします。頭を1ミリも動かさなくても見ていられるので、疲れているときにも見られます。私もこのところ疲れていたので、ボーっと見ることができました。それでいてキャストたちはガンガン銃を打つのでちゃんとスカッする作品でした。

 

兄弟が待ち合わせをする店もティティ・ツイスター(訳:おっ〇いぐるぐるバー)という、これもまたぶっ飛んだ名前のバーでいいですね。わかりやすいです。この店の営業時間が「フロム・ダスク・ティル・ドーン」(訳:日暮れから夜明けまで)で、作品のタイトルにもなってる。さすがにタイトルを「おっ〇いぐるぐるバー」にするのはためらわれたんでしょう。英断です。

 

この先は、ネタバレになってしまうので、未鑑賞の方はご注意ください。

文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、反転させて読んでください。

 

 

 

最初に出てくる保安官は、わりと主役感満載で登場するのに3分で殺られましたね。それにしても雑貨屋の兄ちゃん、自然な感じの対応がうますぎません?俳優志望なの?兄弟が隠れてるのなんて全然わからなかった。二人と人質がいなくなるとすぐにトイレから戻る保安官。ドリフみたいな間でした。こっそりタイミング見計らってたんじゃないの?

あんなに自然に演技をしたのに、焼かれちゃう雑貨屋の兄ちゃん。不憫です。どっかーん!と燃え上がる雑貨屋を後にするゲッコー兄弟はかっこいいんですけどね。

 

不運な親父を演じるハーヴェイ・カイテルもいい味出してましたね。牧師らしく、セスを説得したり諭したりと大忙しです。さらには牧師ってことで後半は大活躍。ほんとにただの水を聖水に変えちゃうし。普通なら「これただの水だよね?」ってひるむだろうに、それを武器にして吸血鬼に立ち向かえる息子も息子である。牧師だけあって、信仰心が半端ないのか、ショットガンとバットで作った即席十字架でも威力がすごい。噛まれてなければ、それを盾に立てこもって朝を待てば十分助かったのに。

そして、ジュリエット・ルイスのボウガンが似合うことこの上なしです。ハンガーゲームのジェニファー・ローレンスを彷彿とさせます。というか、この作品のケイトからハンガーゲームができたんじゃないの?と思うくらい。前半はただのかわいい人質でしたが、後半はボウガン片手に吸血鬼をガンガンやっつけていく姿が素敵でした。

 

おっ〇いぐるぐるバーに入ってからは本当にむちゃくちゃ。最後に朝日が差し込んで、ミラーボールに反射して吸血鬼が焼かれていくのは皮肉がきいててよかった。

予告編も収録されてたので見てみたら、「Vampire No Interview!」ってあって面白かった。この映画の前に流行った「インタヴュー・ウィズ・バンパイア」のパロディだと思う。

 

あの状況じゃ、とてもじゃないけどインタヴューなんてしてられないよね。