シネマの前で待ち合わせ

元TSUTAYAスタッフが映画のあらすじや感想を備忘録をかねてつづっています

前半もめちゃくちゃだけど後半はよりめちゃくちゃ【映画感想】フロム・ダスク・ティル・ドーン

DVDにて。

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原題:From Dusk Till Dawn 

 

【あらすじ】

弟のリッチーに助けられて脱獄した俺は、よくあるように銀行強盗をぶちかましてよくあるように人質をとって逃げ出した。よくあるようにメキシコに逃げる算段で、そこで待ち合わせに成功すればいいのだが、よくあるようにバカな弟がモーテルで人質を殺してしまった。そこにちょうどよく家族連れの親父がキャンピングカーでノコノコと現れた。早速家族ごと人質にしてメキシコまで道ずれにしたのはいいが・・・。

 

【感想】★★★★★

他の映画紹介をYouTubeで見てたらコメントにこの作品の名前が出てきた。有名だし、よく名前は聞くけど、そう言えば見たことないなと思って鑑賞。

雑貨屋のシーンから始まるが、そこですぐにリッチーの「ぶっ飛んでる感」がよくわかっていい。話が早い。雑貨屋の兄ちゃんはなんにも言ってないのに「助けを求めた」と言ってきかないし、兄であるセスの話にも聞く耳持たないし、情緒不安定にもほどがある。それに対してセスは冷静かと思いきや、さすが兄弟。ぶっ飛んでるところはキッチリぶっ飛んでる。

 

「弟に助けられて脱獄した兄が弟と一緒に銀行強盗してメキシコに逃げる」っていう定型文のような設定なのに、一筋縄ではいかないところがタランティーノ節ですね。

 

リッチーはタランティーノが、セスはジョージ・クルーニーが演じてるんですが、はまり役ですね。ジョージ・クルーニーはどこから見てもかっこよくて、こういった悪役とガンショットがとても似合います。タランティーノ演じるリッチーはよくわからない奴なんですが、ただ一つわかるのはすごく変態ってことです。むしろ変態ってことしかわかりません。そして、ケイト役のジュリエット・ルイスがかわいい。特に後半は違う意味で魅力的な感じになります。詳しくはネタバレ感想で後述しますね。

 

前半もわりとこの兄弟のせいで無茶苦茶なんですが、後半はもっと無茶苦茶です。予告見たりとか予備知識なしで見ることをオススメします。頭を1ミリも動かさなくても見ていられるので、疲れているときにも見られます。私もこのところ疲れていたので、ボーっと見ることができました。それでいてキャストたちはガンガン銃を打つのでちゃんとスカッする作品でした。

 

兄弟が待ち合わせをする店もティティ・ツイスター(訳:おっ〇いぐるぐるバー)という、これもまたぶっ飛んだ名前のバーでいいですね。わかりやすいです。この店の営業時間が「フロム・ダスク・ティル・ドーン」(訳:日暮れから夜明けまで)で、作品のタイトルにもなってる。さすがにタイトルを「おっ〇いぐるぐるバー」にするのはためらわれたんでしょう。英断です。

 

この先は、ネタバレになってしまうので、未鑑賞の方はご注意ください。

文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、反転させて読んでください。

 

 

 

最初に出てくる保安官は、わりと主役感満載で登場するのに3分で殺られましたね。それにしても雑貨屋の兄ちゃん、自然な感じの対応がうますぎません?俳優志望なの?兄弟が隠れてるのなんて全然わからなかった。二人と人質がいなくなるとすぐにトイレから戻る保安官。ドリフみたいな間でした。こっそりタイミング見計らってたんじゃないの?

あんなに自然に演技をしたのに、焼かれちゃう雑貨屋の兄ちゃん。不憫です。どっかーん!と燃え上がる雑貨屋を後にするゲッコー兄弟はかっこいいんですけどね。

 

不運な親父を演じるハーヴェイ・カイテルもいい味出してましたね。牧師らしく、セスを説得したり諭したりと大忙しです。さらには牧師ってことで後半は大活躍。ほんとにただの水を聖水に変えちゃうし。普通なら「これただの水だよね?」ってひるむだろうに、それを武器にして吸血鬼に立ち向かえる息子も息子である。牧師だけあって、信仰心が半端ないのか、ショットガンとバットで作った即席十字架でも威力がすごい。噛まれてなければ、それを盾に立てこもって朝を待てば十分助かったのに。

そして、ジュリエット・ルイスのボウガンが似合うことこの上なしです。ハンガーゲームのジェニファー・ローレンスを彷彿とさせます。というか、この作品のケイトからハンガーゲームができたんじゃないの?と思うくらい。前半はただのかわいい人質でしたが、後半はボウガン片手に吸血鬼をガンガンやっつけていく姿が素敵でした。

 

おっ〇いぐるぐるバーに入ってからは本当にむちゃくちゃ。最後に朝日が差し込んで、ミラーボールに反射して吸血鬼が焼かれていくのは皮肉がきいててよかった。

予告編も収録されてたので見てみたら、「Vampire No Interview!」ってあって面白かった。この映画の前に流行った「インタヴュー・ウィズ・バンパイア」のパロディだと思う。

 

あの状況じゃ、とてもじゃないけどインタヴューなんてしてられないよね。