「ティックタック」【映画感想】ロスト・ボディ
amazon prime videoで鑑賞。
原題:El Cuerpo 「遺体」
【あらすじ】
死体安置所の警備員が何かにおびえて森の中を走っていく。道路に飛び出し、車にひかれ、意識不明の重体に。
その後、安置所からマイカという女性の遺体が消えていることがわかり、休暇を終えたばかりのハイメ警部が呼び出される。
夫のアレックスから話を聞きつつ、捜査を開始すると彼の態度が怪しい。
どうやら彼には愛人がいて、妻のマイカを疎ましく思っていたらしい。
妻マイカの殺害計画を実行したアレックスだが、遺体を安置所から盗み出したのは自分ではない。
では、いったい誰が?何のために?
【感想】★★★★☆
ずっと気になっていた作品で、amazon primeで見つけ、レンタルしました。
¥100の価値は十分にありました。
原題は「遺体」という意味のようですが、「ロスト・ボディ」のほうがわかりやすくていいですね。
監督が、「インビジブル・ゲスト」のオリオル・パウロだったので期待してたのですが、やっぱり雰囲気とか撮り方が似てますね。
よくできてるなーって感心するところも一緒。
伏線はちりばめられていますが、真犯人にたどりつくのは難しそう。
重要な手掛かりは隠されているので、☆4つとなりました。
もう少しわかりやすくヒントがあればよかったかも。
最初はちょっとホラーっぽい感じで進むので、それがいいスパイスでした。
マイカとアレックスの会社が製薬会社というのも、毒殺を選ぶのが自然になるいい設定ですね。
マイカが生きてるんじゃないかと思わせるのにも一役買ってます。
マイカの性格もポイントで、人をだましてからかうのが好きみたいです。
アレックスはちょっとだまされすぎ?
でも、マイカ夫人は、そんなアレックスが好きなだけで、なんだかかわいそうな人でした。
ハイメ警部は、刑事というより学者みたいな風貌。
アレックスは、人の好さそうな顔して、かなり最低な男ですね。
最後の最後までどうなるか全然読めないんですが、パッと終わるラストがよかったです。
え、ちょっと、ちょっと・・・となることも確かですが。
この先は、ネタバレになってしまうので、未鑑賞の方はご注意ください。
文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、反転させて読んでください。
インビジブル・ゲストのネタバレも含みますのでご注意ください。
インビジブル・ゲストと軸は同じような気がします。
犯罪を犯した男をだまして自白させる・・・。
でも、全然黒幕に気づけませんでした。
ハイメ警部の奥さんが亡くなった事故と、遺体消失がこんな風に絡んでくるなんて。
マイカの遺体が出てきた時点で、アレックスの妄想オチかと思わせといて、実は、カルラは実在してましたー!ハイメの娘でしたー!っていうのがまたにくい。
ただ、ちょっとやりすぎでは?と思ってしまいます。
結局、娘に毒殺をさせちゃったわけですから。
自白させて、事故の件でも逮捕するだけじゃ物足りなかったんですね。
カルラがアレックスを本当に好きになってしまったと思っている人のブログを読んで、そういう考え方もありかなと思いました。
そうしたら、カルラの最後の涙の意味も深くなってくるなと。
見ているときは、お母さんのことを想って泣いているのかと思ったのですが。
最後にハイメ警部がアレックスを見下ろしながら「ティックタック」と言って
終わったのは、かなりよかったです。
あれ以上の終わり方はないかもしれません。
こちらもどうぞ。
さすがJ.J 【映画感想】オーヴァー・ロード
劇場で鑑賞。
オーヴァー・ロード:ノルマンディー上陸作戦の別名
【あらすじ】
第二次世界大戦中、ノルマンディー上陸作戦が開始された直後、重要なミッションについた部隊が戦闘機の中にいた。
彼らは、フランスのシエルブランという村に降りて、教会を要塞とした中の電波塔を破壊する任務にあたっていた。
飛行中に戦闘機は敵からの攻撃を受け、その中を落下していく兵士たち。
生きて着地できた兵たちは、森の中でクロエと出会い、教会の電波塔を破壊しようとするがそのなかに待ち受けていたものは・・・。
【感想】★★★★★
J.Jエイブラムス制作なら外れないでしょ。と見に行きました。
開始2分で、臨場感あふれる戦場へと投げ飛ばされます。
撮り方がうまく、本当に自分が戦闘機から落下してる気分。
いつあれが出てくるか、ビクビクというかワクワクというか、複雑な気持ちで見ていました。
あれも、ギリギリなラインでいいですね。
後半から思いっきり切り替わる、スウィッチムービーなのかと思っていましたがちゃんと最後まで戦争映画で、それをいいバランスで進めていっていたので、さすがJ.Jだなと、感心しました。
そして、フォード伍長がいい味だしてました。
煮干しかってくらい。
すっごいイケメンってわけではないのですが、冷静なのに何が何でも任務を遂行するって熱意というか、忠誠心?がすごかったです。
前髪がハラッと顔にかかるのがいい感じ。
ボイスもTHE 良心って感じでそんなんで大丈夫か?って心配になるけど、やっぱりいい奴の安定感。
ゾンビ映画は、見慣れているほうですが、これはけっこう怖かったです。
群れになって襲ってくるわけではないのに、ぞっとするんですよね。
大きな音といきなりバッと出てくるパターンで驚かされますので、苦手な人はご注意ください。
この先は、ネタバレになってしまうので、未鑑賞の方はご注意ください。
文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、反転させて読んでください。
ボイスが落ちて行って、湖(?)にどぼーんとなって、なんとか浮かび上がってって
シーンも、周りの戦闘の激しさと水の中の静けさの対比がわかりやすくてよかったです。
日記を本にするんだーと将来を語っていたその次の瞬間に地雷の餌食となってしまう不条理なシーン。
戦争って本当にそんな感じなんでしょうね。
それにしても、教会内に入っていったボイスの運の良さ。
あんなに敵がいるのに、もうちょっと見つかってもよさそう。
閉じ込められたゾンビが、見えそうで見えない、声だけは聞こえるっていうのがよかったです。
クロエのおばさんも怖いし。
そして、ドーンってするの、本当に怖いのでやめてほしい。
特に、クロエが弟のポールと教会内で無事に再会できて、さぁ排水溝から逃げよう!としたときに襲ってきたやつは本当に不意打ちで、心臓をわしづかみにされました。
そして、そいつが本当に怖かった。
なんでしょう、あのリアルな感じ。
そいつに追われてクロエが火炎放射器をぶっぱなすところあたりから、彼女がバイオハザードのミラっぽく見えてきました。
彼女も、とても綺麗で賢そうでナイスキャストですね。
ジェイコブは、助けられた後はわりとピンピンしてて、元気だなって思いました。
血液を抜かれてただけなんですかね。
逆に、フォード伍長が拷問されてるシーンは痛くてちょっとしんどかったです。
そんなところに刺してぶら下げちゃう?
でも、最後まで男気溢れる彼は男前でした。
ラストは、彼の望み通り、すべてが瓦礫の下となり、ある意味スカッとした終わり方でした。
画では珍しいですが、いいラストだったと思います。
トラップが大好きなマメ男くんの展示会【映画感想】パーフェクト・トラップ
やっと続編の感想書きます。
原題:The collection
【あらすじ】
友人に誘われて、あやしげなクラブに行ったお嬢様のエレナ。
そこで、他の女性と遊ぶ彼氏とばったり出くわし、見事な顔面パンチをくらわせる。
いたたまれずトイレに駆け込み、悲しむエレナ。
しかし、そこには大きな赤いトランクが。
そして、フロアでは想像もしないような惨劇が・・・。
悲しんでるどころじゃないやん!と逃げ惑うが、犯人のワナオトコに連れ去られてしまう。
エレナの父親は、娘を助けるために捜索チームを結成。
彼らはワナオトコから唯一逃げ出すことができたアーキンも引き入れ、アジトに向かう。
【感想】
タイトルはパーフェクト・トラップですが、ワナオトコ2です。1作目の主人公のアーキンも続けて出ているし、話もつながっているのでワナオトコを見てからの鑑賞をおすすめします。
最初のクラブのシーンの罠からぶっとんでていい感じです。
前回は、ワナオトコのターゲットになってしまった人の家が舞台でしたが、今回は彼のアジトということで、コレクションがいたるところにあり、気持ち悪さもパワーアップ。
原題通り、「今回は、コレクションをお見せしますよ。さぁ!さぁ!」といった感じ。
もちろん、そこかしこに罠も仕掛けてあるんですが、あまりにも簡単に作動するので、自分で発動させてしまったりしないのか心配になるくらい。
罠は細かいのから大きなものまでバラエティにとんでいて、仕掛けてるところを想像すると、ワナオトコってマメ男だなぁと思ったり。
アーキンは生き残るとしても、だれがいつやられるかわからないのもよかった。
普通に歩いてても、一瞬で罠にはまりますからね。
いつもDVDを見るときは、何か他の作業を片手間にしながら見るのですが、それが全然進まないくらい見入ってしまいました。
でも、どちらかというと前作のほうがコンパクトにうまくまとまっていたような気がします。
こちらは、似たような感じのがありそう。
アーキンは、引き入れられるというか、引きずりこまれるって感じですね。
せっかく逃げ出せたのに・・・。
この先は、ネタバレになってしまうので、
未鑑賞の方はご注意ください。
文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、
反転させて読んでください。
序盤のクラブのシーンで、友人の弟がお姉さんに教えられた通り「いい靴だね」と口説こうとしている女性に言っていて、笑ってしまった。素直だね。
しかし、あれだけの大量殺人をあれだけ大掛かりな装置でしてしまったら、証拠が残りすぎてすぐ捕まってしまいそう。
警察もあんな事件があったら放っておけないだろうし。
先に捕らわれていたアビーもいい感じに変なひとでした。
まともなこと言ったり、足をひっぱったり、バランスがよかったですね。
エレナの補聴器はなくてもよかったんじゃないかな。
もうちょっとうまく使う予定がカットになったんでしょうか。
ワナオトコに追われてパイプの上に逃げるとことか、
電気がフラッシュのようになっているシーンでアーキンの後ろからワナオトコが迫るとこがハラハラしました。
ホテルの壁の穴から、外にいた人をめがけて銃を撃つのは賢いと思ったけど、あんなに思いっきり命中させなくても。
寒い中、立ち話なんてするもんじゃないですね。
いつ廃墟ホテルから狙撃されるかわかりません。
ホテルから脱出する前、火に囲まれて絶望の表情をするアーキンの前で標本の水槽(?)をがっしゃんがっしゃんと叩き割るエレナが素敵でした。
外に出た時のチラチラ降る雪もいい感じ。
その後のワナオトコの家庭訪問はいらなかったかも。
死んでるかどうかわからないままでよかったし、そのままにしておいたら次回作も作れるのに。
アーキンの「あのホテルから半径300キロ以内には14人の昆虫学者が住んでいる。お前は12番目だ」というセリフはめちゃめちゃかっこよかったけれども。
ちょっと息苦しくなりたいなと思ったら見る映画【映画感想】THE MIST
パーフェクト・トラップの前にもうちょっと寄り道。
もう見てるからそのうち書きます。もうちょっと待って。
原題:DANS LA BRUME/JUST A BREATH AWAY
【あらすじ】
パリに住む、自己免疫疾患の病気を持つ11歳のサラは、大きな医療用カプセルの中から出られずその中で生活していた。
その両親のマチューとアナはその治療方法をずっと探し、議論をしていた。
そんな中、地震が起こり、謎の霧が街をおおいつくす。
二人は住んでいるアパートの上の老夫婦の部屋に逃げ込むが、「このままだとサラの
カプセルのバッテリーが切れてまう。あかーん!」と、サラを助けるために
霧の中でヤンヤンする話。
【感想】★★★☆☆
原題の意味は「霧の中で」。わりとそのままですね。
「ミスト」と言うとスティーブンキング原作の超バッドエンドの映画が有名ですが、正体不明の霧という点が同じだけで、まったく別の作品です。
フランス映画だしね。
TSUTAYAで大作並みの本数が並んでたから期待して見たんだけど、B級でした。
でも、それなりにおもしろかったです。
霧というより、色付きなので毒ガスのようです。
霧におおわれたパリの光景は不思議な感じがしてよかったです。
上の部分や屋根だけ見えるとあんな感じなんですね。
そして、霧の中に入っていくシーンでは、こちらも息苦しくなる。
霧だから、ガスマスクじゃだめなのかな?
キャストは、サラちゃんがちょっとエマ・ワトソンぽくてかわいかったです。
ストーリーは、思っていたよりも小規模な感じで進み、ちょっとアクションまぶしておきましたって感じ。
あまり展開が読めないところはよかったです。
この先は、ネタバレになってしまうので、
未鑑賞の方はご注意ください。
文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、
反転させて読んでください。
なんといっても、実は免疫疾患の子供たちは霧を吸っても大丈夫ってことがわかるのが遅すぎです。
パパがもうちょっと早く戻ってきて、階段でママと会って助かるかと思ったのですが。
ママは無駄死にじゃないですか。
スーツもあんなに頑張って取りに行ったのに・・・。
今さらジローどころか、今さらサブローくらいのタイミングでわかるっていう・・・。
友達のノエ(でしたっけ?)がもうちょっと早く来てくれたらよかったのに。
サラがこれから自分を責めないでいてくれることを願います。
それにしても、死んでしまう犬もいれば、大丈夫な犬もいて、ルールがよくわからないですよね。
大丈夫な犬はやっぱり免疫疾患とか?
霧の発生原因やそのへんの謎が明かされないままなので、ちょっとモヤっとします。
ラストまで見ると、うまく説明できないのですが皮肉な印象を受けました。
今度は、健康な人がカプセルの中にいないといけないという。
見方を変えると大気汚染に対する警告的な映画なのでしょうか。
切なさ満開【映画感想】ソローキンの見た桜
試写会にて鑑賞。
ロシア語タイトル:Вплену у сакуры 「桜にとらわれて」.
【あらすじ】
現在。地元のロシア人墓地を取材していたTVディレクターの桜子は、先輩の倉田にソローキンの墓がないことを教えられ、ロシアへの取材に同行することを頼まれる。
いまいち乗り気ではなかった桜子だが、家で祖母に先祖のゆいの日記を見せられる。
日記を持ってロシアに渡った桜子は、祖母からある事実を告げられる。
そして、二人の日記を追っていくうちに、彼女のルーツが見えてくる。
日露戦争時代。日本の捕虜となったロシア兵捕虜、ソローキンを手当てすることとなったゆい。
ゆいの弟は戦争で亡くなっているため、複雑な思いを胸に抱いていたが、そのうちにソローキンに惹かれていく。
ロシア革命のために祖国に戻らなければいけないソローキンは、ゆいを連れて脱走し、ロシアに戻ろうとするが・・・。
【感想】★★★★☆
ロシア語タイトルは、「桜にとらわれて」といった意味のようです。
こちらのタイトルもいいですね。
「ソローキンの見た桜」も、とてもいいタイトルだと思います。
ラジオドラマが原作としてあり、南海放送で放送されたようです。
ソローキン役のロデオンがかっこよかったです。ロシアのディカプリオって感じ。
ゆい役の阿部純子さんもキリッとした美人さんでしたね。
所長役のイッセー尾形さんは、相変わらずいい味だしてました。
すっとぼけた感じがなんとも言えず、ナイスキャスティング。
この人は、軍服姿がやたらと似合うんですよね。
昔の人の顔なのかも。
ボイスマン大佐役のアレクサンドル・ドモガロフ氏はロシアの名優らしく、舞台挨拶でイッセー尾形さんが「(彼に比べると)僕の小物感がすごかった」とおっしゃってました(笑)
ストーリーはわかりやすいロミジュリ的な話なんですが、史実を元にしているそうで、なかなか切ないです。
でも、わりと明るく描いていて、イッセー尾形さんの存在のせいか、笑いが起こるシーンもありました。
松山の桜や城の風景は本当にきれいで、サンクトペテルブルクの街並みも美しく、とてもいい対比だったと思います。
収容所として寺に捕虜が収容されているのですが、寺にロシア人というなんとも言えない組み合わせが新しく、それでいてなんとなくしっくりくる感じがしました。
欲を言えば、もっとサンクトペテルブルクの街並みが見たかったです。
残念だったのが、BGMが大きすぎたのか、会場の音響のバランスのせいか、会話が聞き取りにくいところがありました。特に倉田の声が。
特にBGMいらないんだけどなって思ってしまいました。
この先は、ネタバレになってしまうので、
未鑑賞の方はご注意ください。
文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、
反転させて読んでください。
どこまでが実際にあったことなのか、どこからが脚色なのかがわからないのですが、一番男前だったのは、後にゆいの旦那さんになった人ではないでしょうか。
ソローキンとゆいの娘ごと受け入れるなんて、懐が大きすぎてもう・・・。
ほんの少ししか登場しないのに、おいしいところ持って行ったなぁと思いました。
ゆいの手紙がソローキンの死後にしか届かなかったなんて、それもまた切なかったです。
ソローキンは、娘がいたことはおそらく知らずに亡くなったのでしょう。
ソローキンとともにゆいがロシアに渡ろうとしたら、許可証はなかったと思うので、この脱走は成功しなかったかもしれません。
そう考えると、ゆいの決断も正しかったと思えますが、やっぱり切ないです。
ソローキンを死亡したとして、捜索を中止にした後、ボイスマン大佐がやってきて、二人でたばこを吸うシーンがよかったです。
あと、正露丸とこんにゃくのシーン。
ちゃんと食べるところがえらいですね。
戦時中だから、粗末にできなかったのかもしれません。