敵か味方かカウボーイ【映画感想】哭声/コクソン
DVDで鑑賞。
【あらすじ】
平和な田舎の村コクソンで、村人が自身の家族を惨殺するという事件が相次いで起こる。犯人はみな、濁った眼をして肌には湿疹があり、現場に呆然として座り込んでいた。同じころどこからかやってきた日本人がいると噂になっていた。そして、事件を担当した村の警察官ジョングは、自分の娘にも同じような湿疹を見つけて動揺するが・・・。
【感想】★★★★☆
なにはともあれ、國村隼さんの無表情な顔が印象に残ります。何を考えてるかわからない感じが怖いですね。
序盤から鹿にかぶりついたりしてて、怪しさ満載。
監督は、キリスト教信者らしく、聖書にちなんだ始まり方をしていますが、そこまで詳しくなくても充分楽しめます。
スマホを持ってるところを見ると、時代背景は現代みたいなんですが、祈祷師とか普通に呼んで、普通に祈祷が始まるんですが、祈祷師なんてそんな胡散臭いものがまかり通ってるのは、田舎だからなのでしょうか。
祈祷師の祈祷が始まると、謎の日本人側も儀式のようなものを始めてドンドコドンドコと交錯して盛り上がっていきます。
後半になると、もう敵か味方かカウボーイな奴ばっかりで、何を信じたらいいのか・・・。
ムミョンとジョングが道で対峙するとこなんか、どっち?どっち?ねぇ、どっち?!ってなって、混乱の極みです。
この脚本のすごいところは、普通、見ている人はだいたいだれが敵でだれが味方かわかってるんですが、観客までも、誰を信じたらいいのかわからず、迷路にはまりこむところ。
どうなっていくのか予測不能なので、156分と長めですが、飽きずに見られます。
この先は、ネタバレになってしまうので、未鑑賞の方はご注意ください。
文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、反転させて読んでください。
最後まで見ても、誰が犯人だかわからないですね。
誰かを犯人とすると、つじつまがあわなくなる。パズルのピースもそろわないし、手元にあるピースも、全部はうまくはまらない。
どうやらそういう風に脚本ができているようなので、誰が犯人かを分析するのは野暮ってやつでしょう。
一番怪しいのはやっぱり祈祷師ですが、完全なインチキとすると祈祷を始めたときに娘がちゃんと苦しむのがおかしくなる。
でも、祈祷師が自ら呪いのようなものを村人にかけて金儲けをしようとしてたとしたら、なんとなく辻褄があうかな、と。
日本人がジョングに追われて崖を逃げるときなんて、なんとなく悪い人ではないような気がしてきましたし、最後に悪魔の姿になるのも、イサムがおびえてそう信じてしまったからのような気がします。イサムが救世主だと信じればそのような姿になるのかと。
たぶん、色々考えたけどわからないねって結論が正しいような気がします。