劇場にて。

原題:Conclave
公式予告
https://youtu.be/Nfp7z9Agl7Y?si=dJfUY80vCdW-Oo_d
【あらすじ】
ローマ教皇が亡くなり、悲しむ暇もなくコンクラーベ(教皇を決める選挙)が始まる。世界中から候補者である枢機卿たちがシスティーナ礼拝堂に集まり、扉は閉ざされ、長い選挙が始まる。陰謀や差別、スキャンダル、それぞれの思惑がうごめく中で、ローレンス枢機卿はある秘密にたどり着いてしまう。彼は最後まで選挙を取り仕切れるのか・・・。
【感想】★★★★★★
面白そうだと思って久しぶりに映画館まで見に行ったら、本当に面白かった。
他のブロガーさんやレヴュアーさんの多くが書いているが、序盤で誰が誰だかわからなくなる。見る前にもっと予習しておけばよかった・・・と見ながら後悔したが、時すでにお寿司。じゃなくて、遅し。登場人物が多いうえに、ほとんど白人で、みんな同じ衣装着てるんだもん。脳みそが金魚な私は、すぐに混乱して、集中できなくなってしまった。それでもあきらめずに見ていると、顔と名前がなんとなく区別できるようになってくるから不思議。中盤になると、話についていくことができた。これは、監督の手腕によるところが大きいと思う。観客がちゃんと区別できるように、枢機卿たちの外見と個性がはっきりしている。
ラテン語やイタリア語なども出てくるせいで、英語字幕と日本語字幕が表示される場面もあって読むのが忙しかった。日本語ではコンクラーベだけど、英語の発音はコンクラーヴって感じなんだな・・・と思った。衣装もゴージャスで美しかったし、礼拝堂の中も、もれなく素敵。
主役のローレンスは穏やかで頭が良くて、まさに「キリスト教の神父様」って感じで、とても好感が持てた。コンクラーベを進めるのに最適な人物って感じ。自分の感情をおさえ、周りを諭し、粛々と教皇選挙を進めていく。その中で色々なことが起こり、悩み、辛そうな場面もあるが、彼は揺らがない。亡き元教皇の遺志を貫こうとする姿はとても神々しいものだった。
中には「こんな人が枢機卿なの?」というふるまいをする人や、野心家すぎる人もいる。中盤を過ぎると「この選挙はどうなってしまうんだろう?誰が教皇に選ばれるのだろう?」とドキドキしてきた。脇役のシスター・アグネスもとてもいい仕事をする。ツイストがきいていて、最後の最後までアンコたっぷりなたい焼きのように楽しめる。終わり方もとても秀逸。多くの人に見てもらいたい映画だと思った。
お連れ様が笑っているシーンもあったので、ある意味コメディ的にも見れる映画かも。
最後に個人的な見解だが、聖職者は男性だけでいいと思う。これは女性差別ではなく、聖書の解釈の違いの議論だからだ。(聖書自体が女性差別していると言われてしまえばそれまでだが、そうなるとキリスト教全体を否定することになる。)キリスト教内で女性は女性だけの、小さな子供などにキリスト教を伝える大きな役割があって、それはそれでとても大事な仕事だからだ。なんでも男女平等を唱えればいいというわけではない。適材適所である。
この先は、ネタバレになってしまうので、未鑑賞の方はご注意ください。
文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、反転させて読んでください。
教皇として選ばれるのはベニテスだったが、私はとても納得した。ローレンスでもいいと思っていたが、ベニテスが最善だと思う。
30歳で19歳を妊娠させたアデイエミや買収されていたベリーニが、教皇を諦めて改心していく様子がとても穏やかでよかった。特にベリーニがローレンスに向かって「教皇名を考えておいたほうがいい」と言うシーンが好きだ。ローレンスが「教皇の座につきたくないけど、つかざるを得ないのか・・・。それなら教皇名は・・・」と考えてるのがよくわかる表情と間で、ローレンス役のレイフ・ファインズのすごさを知った。見た後で知ったが、彼はハリーポッターのヴォルデモートを演じた方だった。あのヴォルちゃんと今回のローレンス役とのギャップが大きすぎて、全然気づかなかった。俳優さんって本当にすごい。
トランブレのお金で票を買っていることがバレたときに「ユダ」だと批判されるシーンがありましたが、言い方が残酷だと思いました。確かに買収はあり得ないことですし、許されることではないですが、キリスト教内で、しかも枢機卿が「ユダ」だと言われるのはかなりきつそう。
テロがあり、礼拝堂の屋根に穴が開いた後、日が差したり、鳥の声が聞こえてくるのも印象的。爆発は映画らしいタイミングだったが、淡々とした流れの中にいいアクセントを入れたと思う。その後のテデスコの好戦的な演説に対するベニテスの演説に感動した。その通りだよ、ベニテス枢機卿!宗教戦争だろうと普通の戦争だろうと、「戦争」なんて名の付くものにいいものなんて存在しない。ベニテスの考え方こそが、キリスト教のあるべき姿だと思った。
どこまでが元教皇の計画なのだろう。チェスで8手も先を読む方だったそうなので、すべては計画通りかな。色々な伏線があったようなので、もう一度見直しても面白そう。
最後の亀はいろいろな考察ができると思うが、私は「亀=ローレンス」だと思った。
亀が礼拝堂の中に迷い込む=ローレンスが迷った末にローマ教皇になる決意をする
その後・・・
亀がローレンスの手によって礼拝堂の中から池に返される=ローレンス自身がベニテスに票を入れて、自分は自分のいるべき場所で人生(枢機卿としての自分)をまっとうすればいいと思いなおす。
私は、最後に登場する亀をこんな風に解釈しました。
選挙が終わったあと、すごくスッキリした顔のローレンスがとても印象的でした。ホッとして「これでよかった」と思っているのがよく伝わってきました。
ベニテスの秘密が明かされたときは、最後の最後でどんでん返しが来たなと思った。そう来たか・・・と。やっと選挙が終わったと思ったのに、ローレンスは最後の最後まで苦悩させられるんですね。どんだけSなの?この脚本。でも、ベニテスが元教皇の指示に背いて子宮摘出をやめたのもよかったと思う。「(私の身体は)神が創ったままです」(記憶から引っ張ってきているので字幕とは違うかも)と言うセリフも、納得。彼は、政治や教会の組織や権力などに惑わされず、純粋に神に仕える人物だとわかる。教会をいい方向に導いてくれるだろう。