シネマの前で待ち合わせ

元TSUTAYAスタッフが映画のあらすじや感想を備忘録をかねてつづっています

刺さる【映画感想】サウンド・オブ・フリーダム

試写会にて。

原題:Sound of Freedom

 

【あらすじ】

ホンジュラスで暮らす姉弟が芸能事務所にスカウトされ、他の子供たちと一緒にある建物の一室に集められる。そこまで送ってきた父親は「ステージパパはここまで」「お迎えは7時に」と言われる。スカウトに来た女性に姉弟を預け、言われた通りに7時に迎えに行くと、部屋はもぬけの殻・・・。手がかりも何もなく幼い子供たちがさらわれてしまう・・・。

 

【感想】

しばらく胸に刺さってしまい、感想が書けなかった。そのくらい重い映画でした。事実に基づいているというのが信じられない・・・と言うか、信じたくない。同じ人間がすることとは思えない。どうしてこんなことができるのか。怒りも悲しみも通り越して疑問しか出てこない。子供を売買する人たち・・・あなたたちも子供だったはずなのに。

それから、この映画を上映するのに圧力がかかり、5年も上映できなかったそうです。なんで?どこからそんな圧力がかかるの?誰にとって不都合なの?これに関しても、疑問しかでてこない。いろんな人が、組織が、とても多くの努力をして上映にこぎつけたとエンドロールの横で、主人公のティムが話していました。それを聞いて、多くの人に見てほしいと強く思いました。まだギリギリ上映に間に合うし、DVDでもいいので、子供がいる方には絶対に見てほしい。そして、海外のことだと思わず、自分の子供が万が一にでも誘拐されないようにしてほしい。日本人の子供はマーケットに出ない分、価値が高そう・・・と思ったら、本当にそのようで。だから対岸の火事とは思わずに、お子さんに身を守る方法を教えてあげたりしてほしい。

 

自分の身を投げうってロシオ(姉)を救出に向かうティムはノーベル平和賞なんかじゃ全然足りないくらい素晴らしい人。ノーベルギャラクシー賞くらいあげたい。資金援助と、プロジェクトに参加して子供たちの救助を支援してくれたイケメン資産家パブロと前科ありの協力者、ビルにも。

この計画が、「計画」とか「プロジェクト」とかそんな言葉で表現できるような、なまやさしいものではなくて、ミッションと言った方がいいくらい。トム・クルーズが挑む感じの緊張感。いや、それ以上かも?

その計画が上手くいくかどうか、見ていてすごくハラハラしました。その後、南米コロンビアに潜入していくティムにも、本当にハラハラしました。実話に基づいているから、失敗するかもしれない・・・。そう思いながら見ていました。自分の命さえ危ないところに乗り込んでいくその姿は神様以上の存在に思えます。どうしてそんなことができるんだろう。全く逆の意味で、同じ疑問が浮かびます。

きわどいシーンはうまく避けているけれど、ギリギリまで描かれているのでこれから何が起こるのかはわかる。何があったのかはわかる。予想はしていたけど、しんどかった・・・。

ほんの少しコメディ要素もあるけど、これはエンターテインメントを超えた何かだと思うので、エンターテインメントを期待してはだめです。(そのため、☆はつけませんでした。カテゴリーは、たくさんの人に読んでもらいたいので★6にしました。人間の怖さを感じたので、ホラーカテゴリにも入れました)

しばらく刺さったままで苦しかったですが、見てよかったです。

 

*この映画を多くの人に見てもらいたいという思いから、ペイ・フォワードシステムがあり、無料で見られるようです。予定枚数がまだ終了していなければ、申し込めるのでお試しください。

映画『サウンド・オブ・フリーダム』公式サイト

 

この先は、ネタバレになってしまうので、未鑑賞の方はご注意ください。

文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、反転させて読んでください。

 

ミッションが上手くいってよかった。ロシオはいなかったけど、たくさんの子供たちが救われた。「弁護士の男に手錠をかけずに連れていってほしい」という警察への依頼とそれが上手くいったときの「イヤッホー!やったぜ感」が、すごく印象に残っている。あれは上手い。映画っぽいと思った。本当にそんな風にしたのか、気になった。ロシオが連れてきた女の子たちの中にいなくてがっかりしたけど、最後にロシオが助かってよかった。本当によかった。とてもつらい目にあったと思うけど、これからの人生はその分いいことがあると思って生きてほしい。幸せになってほしい。できることならロシオのつらい記憶を消し去ってあげたいと思った。命は助かったし、ティムのおかげで戻ってこれたけれど、以前と全く同じにはならない。きっと忘れることはできない日々になるだろう。

 

本当にこの犯罪は許してはいけないものだと思う。やっと上映できたこの映画。犯罪者を減らすきっかけとなってほしい。