シネマの前で待ち合わせ

元TSUTAYAスタッフが映画のあらすじや感想を備忘録をかねてつづっています

脱出ゲーム×シャマラン【映画感想】OLD

DVDにて。

原題:OLD

 

【あらすじ】

カッパ一家は、離婚前の家族最後の思い出作りとしてリゾート地を訪れる。離婚話をまだ聞かされてない息子のトレントと娘のマドックス。彼らは泊まったホテルでそのマネージャーの甥であるイドリブと仲良くなり、トレントは暗号で書かれた手紙をもらう。翌日、一家はマネージャーに提案されてプライベートビーチに行く。そこには同じようにマネージャーに招待された三組の観光客がいた。それぞれにバカンスを楽しんでいたが、トレントが女性の遺体を発見し、徐々に得体のしれない恐怖が彼らを取り囲んでいく・・・。

 

【感想】★★★★☆

さすがシャマラン。設定をかなり上手く作って、全体もいい感じにまとめてる。時間の進みが早いということで時間制限を作ってるんだけど、それがとても上手く作用している。最初は家族団らんと夫婦のケンカなどを見せられるが、だんだんと不穏な空気が漂ってくる。ラストはオチが読めてしまいました。まぁ、そうなるよねと。そこが残念だったけど、それまでのヤンヤンな感じで十分楽しめました。この作品も予告などを見ないで、できるだけ情報を遮断して見るのがいいかと思います。

 

見ている間に、老いることと死について考えさせられました。小さい頃と思春期と感じ方が違う描写があったのがよかった。小さい頃の感覚は忘れてしまったので、ちょっと戻ってみたいと思いました。色々考えずにすむから楽そう。

死ぬのは怖くないけど、殺されるのはいやだな。大切な人たちが死んでいくより前に死にたい。残されるのは寂しくて嫌です。人間の身体についても、勉強になったことがありました。詳しくはネタバレ感想で。

そして、こういったサバイバルの前に離婚直前の夫婦がでてくるのはもうセオリーですね。「モーテル」なんかもそう。仲違いしてた夫婦が助け合うっていう構図はわかりやすいけど、ちょっと見飽きたかな。

 

原題はそのままOLD。「老化」とでも訳せばいいでしょうか。私は「The Beach」の方がしっくりくるような気がしましたが、ディカプリオの同名映画があるので避けたのかもしれません。

シャマランの映画はほとんど見ています。公務員監督と揶揄されますが、真面目に面白い作品を作っていると思うので好きです。ハプニングとヴィレッジが特に好きかな。

 

 

この先は、ネタバレになってしまうので、未鑑賞の方はご注意ください。

文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、反転させて読んでください。

 

ガイが、「ビーチに二つの死体は統計的にあり得ない」と分析したのを聞いて、11人の中に看護師と医者と心理学者がそろうほうが統計的にあり得ないと思っていたけど、見ていくうちに人為的に集められたことがわかり、納得しました。もっと怪奇現象みたいなものかと思いきや、製薬会社の実験とは。

中盤は、かなりカオスな状態でした。カーラは妊娠するし、チャールズは病気が悪化してラッパーのセダンをめった刺しにするし。ただの危険なオッサンと化したチャールズ。途中までは頼りになるお医者様だったのに。彼の自尊心を上手く使って、上手くコントロールすればいいのにと思って見ていました。プライドって必要最低限あればいいなと思いました。それにしても、彼に立ち向かうプリスカはたくましいですね。母は強し。プリスカがチャールズにさびたナイフで反撃するシーンで、人間の身体に錆が入るとあんな風になってしまうんだとびっくりしました。確かに身体には有害そうだけど、取り除かないと死んでしまうなんて。最初にみんなでこの状況を分析していた時に、髪や爪が伸びない理由が死んだ細胞だからって言うのも、なるほどと思いました。でも、それなら遺体の腐敗が早いのはなんで?生きてる状態と死んでる状態では鉱石の影響が違うのはいまいち納得できなかった。

 

スタイル抜群のお姉さんが出てきて、目の保養だなぁとエロ親父目線で見ていたのですが、老いた彼女が洞窟ではいつくばって追いかけてくるシーンはなかなかのホラーシーンでした。老いを受け入れられないのは悲しいですね。それに対してガイとプリスカは穏やかな死に方でした。ガイが「気持ちを伝える言葉が出てこない」(←うろ覚え)と言った後に、「I know」とプリスカが言うんじゃないかなと思ってセリフを待っていたらその通りでした。

 

ラストは、きっと二人は生きててるんだろうなと思いつつ製薬会社のシーンを見ていました。二人とも冷静に対処していたな。シャマランがビーチの監視を終えたところで、後ろからガッと殴られるのかと思ったけど、さすがにあの時間であの距離の移動は無理か。それにしても話を聞いた警察官はすぐに話を信じてくれたんだろうか。それともあのビーチの異常性については話さずに、ノートの失踪者リストだけを見せたのだろうか。製薬会社の悪事は、ジュラシック・ワールドで見たばかり。研究に熱心になってしまうと善悪の判断がつかなくなってしまうんですかね。あれだけの研究員がいたのに内部告発もなく・・・。マネージャーの思想コントロール、上手すぎ。

それから、イドリブはマネージャーと血がつながっていないのでは・・・という考察があって面白かった。確かにマネージャーは白人で、イドリブは中東系の顔。(イドリブの顔、他の映画で見たような気がするんだけど、他に出演作品がでてこないので単に似てる子役がいるみたい)イドリブは、治験家族の一員でなんらかの問題が発生して生き残ってしまった孤児といった仮説にすると、シャマランがトランシーバーを使うシーンで言われていた「また問題は困る」と言う言葉につながります。イドリブがサンゴの抜け道を知っていたということは、彼自身が、あのサンゴ礁を抜けて生き残ったのではないでしょうか。私はそんな風に考察してみました。

 

今回、シャマラン監督はガッツリ登場していましたね。まだDVDの特典映像を見ていないので見た後に加筆するかもしれません。

 

ガイはどこかで見たことあると思ったら、「dot the I」に出ていた俳優さんだ。

ガエル・ガルシア・ベルナル氏。特徴のある名前で思い出した。優しそうな顔なので好きです。

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