シネマの前で待ち合わせ

元TSUTAYAスタッフが映画のあらすじや感想を備忘録をかねてつづっています

みんな双子【映画感想】Us (アス)

DVDにて。

 

f:id:fu2uki:20210620180420j:plain

『アス』予告編90秒 - YouTube

 

【あらすじ】

1986年、ある少女が両親と浜辺の遊園地を訪れる。母親に「ここにいてね」と言われたが、少女アデレードは一人、浜辺の方に歩いて行ってしまう。そこにあったミラーハウスに入っていくアデレード。そこで停電が起こり、暗闇のハウスの中をさまよう。そのうちに自分そっくりの少女に出くわし、その出来事のせいで失語症を患ってしまう。

時は流れて、現在。無事に失語症も治り、二児の母となったアデレードは、家族で別荘に来ていた。家族を楽しませようとする父親に苦笑する二人の子供とアデレード。その晩、不審な影4つが彼らの別荘の外に現れる。バットを片手に追い払おうとする父親だが、無理やり別荘に侵入してくるその姿は、彼らにそっくりだった・・・。

 

【感想】★★★★☆

予告は貼ってみましたが、見なくても(見ない方が?)充分楽しいです。最近、予告は見ないで本編を見ることがほとんどです。

 

冒頭に下水道の話が出てくるんですが、それがどう繋がってくるんだろうと考えながら見ていました。序盤は過去と現在が少し混ざるので、ちょっとわかりにくいです。オープニングの音楽も不安な感じで、気味悪く盛り立てます。嫌な感じがヒタヒタとするのが「インビテーション/不吉な招待状」っぽかったですね。そっくりな奴らがやってくるまで、しばらくかかるのですが、伏線張ってるんだろうなと思って、焦らず見てやってください。現れてからは、なかなかスリリングでいい感じです。殺られるシーンは一瞬だったり隠れてたり遠くてよくわからなかったりと、ハッキリと写ってないので、スプラッターが苦手な私でも大丈夫でした。後半からはどうやって終わるのかが気になっていたのですが、ツイストきいててよかったです。

 

見ていて、前半は「ファニーゲーム」を思い出しましたね。暴力的な人たちが無理やり侵入してくる感じが。この作品は貧困層と富裕層の格差とか黒人差別への批判だとか色々な見方ができるようですが、ジョーダン・ピール監督の前作「ゲット・アウト」よりわかりにくくなっています。そのため、純粋なホラーとして楽しむことができてよかったです。なんといっても、襲ってくるやつらの残酷な顔が怖いですね。襲われる方と同一人物なのでしょうけど、表情が全然違うので別人に見えます。特に、長女の分身が怖かったです。小学生みたいな感想ですが、役者さんってすごいですねー。

 

この先は、ネタバレになってしまうので、未鑑賞の方はご注意ください。

文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、反転させて読んでください。

 

最初に奴らが現れたときに、ハサミの影が見えるのが怖くてよかったです。そのものを写すより怖い。ハサミは線対称だから、奴らの武器としては最適ですね。なにより、襲ってくるやつらが普通の人間で普通に殺せるのがよかった。変に強かったり不死身だったりすると大変。それに、みんなおそろいの赤いツナギを着ているので、見分けが簡単。服を取り替えて、入れ替わって油断させたところを襲ったりするかなと思ったけど、それはなかった。別荘に向かう車の中で、アデレードが音楽に合わせてリズムをとるんですが、微妙に合ってないのが気になりました。解説してるサイトでは、彼女がクローンだからとしていましたが、リズムもとれないのにバレエをソロで踊れたりするんでしょうか?いまいちよくわからないシーンでした。

 

別荘の中に奴らが入り込んで、プルートが暖炉に火をつけたあたりのシーンがなんだかお遊戯会のように見えてしまった。立ち位置がばっちり決まってる感じで。この後もこんな感じだったら嫌だなって思ってたけど、後は大丈夫でした。

エレミア書11節11章のサインを出していたおじさんが最初の犠牲者となって運ばれていくのが意味深でよかったです。列を作ってる中にそのおじさんがいるのがわかるので、「奴にやられたんだな」って後々わかるのもいい。

中盤、同時多発的な事件だとわかるので、それも「インビテーション/不吉な招待状」ぽいですね。アデレードがだけが話せるってことでしたが、ジョシュのクローンも話してなかった?気のせいかな。テイラー夫妻とその娘たちは、あっさりやられましたね。その後、助けを求めて夫妻のもとを訪れたアデレードが、すぐに奴らだと気づくのはさすがです。彼女の子供たちも襲撃されたとき、冷静でキャーキャー言わずに機転をきかせるので、見ていてイライラせずにすみました。キティがアレクサ的な機械に「警察を呼んで」って言ったのに、"Fuck the Police"という音楽を流されるのは、皮肉が聞いてていいですね。しかも、実際にありえそう。お父さんがジョシュのクローンに向けて閃光弾(?)を打ちますが、あれはなんだったんでしょう?双子の片割れは、ゴルフのクラブで殴られた後、自ら側転して階下に落ちていかなかった?その後、アデレードを襲いますが、この時、ガウガウ言って噛みつこうとする感じがゾンビっぽくて素敵ですね。

 

アトラクション地下のウサギがたくさんいた施設ですが、あそこって砂地なはずなのに、地下にあんな施設って作れるんですかね?変なところが気になってしまいました。

 

ラストが衝撃なんですが、自分がクローンだったって忘れるもの?ジェイソンを見つけたあとに、アデレードがあっさり地上に戻ってきてるので、幼いころの地上に囚われてしまったアデレードも手錠が外れれば上に戻れるんじゃないかな。ラストの回想は、アデレードの想像で、最後の笑顔は自分の息子を見て、「そんなわけないか」って笑った感じに見えました。でも、クローンと入れ替わってた方が、失語症の説明に納得がいくんですよね。ジェイソンのマスクをかぶる動作も意味深ですし。(これは、アデレードのクローンからアデレードと自分が入れ替わってることを聞いたジェイソンが、「そのことを黙ってるよ」といった無言の伝達だという解説がありました)画像も、アデレード意外の家族はにっこり笑っているのに、アデレードは上も下も怖い顔をしてます。

ジェイソンがクローンと入れ替わってる説もありますが、その機会はないし、クローンは火傷の跡があるので、それはないのではないかと思います。