喪失の乗り越え方 フランス風【映画感想】サマーフィーリング
Jack&Bettyにて。
原題:Ce sentiment de l'été
【あらすじ】
夏のある日、突然の死がサシャを襲う。この出来事は、サシャの恋人ロレンスと妹のゾエを出会わせる。悲しみに包まれる二人。そして、その家族、周りの人々。
気持ちの整理がつかないまま、ロレンスは日々を過ごす。
「乗り越えられそうにない。君はどうやって乗り越えるの?」
【感想】★★★☆☆
平日に見に行ったのですが、結構人が入っていました。8割くらいは埋まっていたかと思います。
音楽と映像を楽しむ雰囲気重視の映画といった感じでした。
原題通りに訳すと「夏の感情」といった感じでしょうか。
もしくは「夏の感傷」かな。
私が邦題をつけるなら、「夏の喪失」にするかなと思いました。
ストーリーは、複雑ではなく、急死するサシャを見せた後は、ほとんど説明なしにロレンスとゾエの日常が描かれていきます。
葬儀の様子とか、サシャの死因とかそういったものはバッサリカット。
いさぎよくていいですね。お涙頂戴な感じもなくて。
サシャとロレンスはベルリンに住んでいたのですが、ロレンスはドイツ語は話せないと言っていたようでした。
英語だけでもベルリンで生活できるものなのでしょうか。
ちょっと不思議に思いました。
サシャとその家族はフランス人のようで、ロレンスはたぶんアメリカ人のようでした。
2人の部屋から見えるタワーも気になりました。
ベルリンにあんなタワーがあるんですね。
あのタワーが見えるだけで家賃が違いそうって思うのですが、そういったことって日本だけじゃないですよね?
街中や別荘地に日差しを浴びる人たちが繰り返し出てきて、ヨーロッパの人たちは、日光浴が好きなんだなってよくわかります。
夏を描いた作品なので、夏のシーンが多く、スクリーンの中は日差しがいっぱいなのですが、ロレンスの心にはその日差しが届いていないようで切なくなります。
フィルムのせいか、霧雨が降っているように見えた場面がいくつかありました。
晴れた場面だったので、意図されたものではないと思います。
淡々とロレンスとゾエのその後の生活を映し出していく感じで、場面が切り替わるとロレンスがニューヨークに移住していたりします。
もっと早く移住してもいい気がするのですが、そういったことは人それぞれのタイミングなのでしょうね。
この先は、ネタバレになってしまうので、未鑑賞の方はご注意ください。
文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、反転させて読んでください。
ロレンスとゾエが最初に会うシーンはどちらかというと、再会した二人に見えたのですが、あらすじを読むと初対面だったようです。
ゾエはサシャと似ていたかな。
私は、そうでもないように感じましたが、ロレンスは似ている何かを見ていたようです。
ゾエは、とてもキュートで、どうみても息子がいるようには思えませんでした。
二人が悲しみを共有して一緒にいるようになるのかと思ったらそうでもなく。
ゾエは夫と別居中で、そうなるフラグが立っていたのにも関わらず。
「それをしたらハリウッド的になっちゃうから」とお連れ様が言っていて、それもそうだなって納得しました。
ハンニバルが、「共通の悲しみは二人の距離を縮める」(うろ覚え)と言っていたことを思い出しながら見ていましたが。
ロレンスがサシャの私物をアートセンターに取りに行くのですが、サシャの友人がレモンペーストをまだ残ってるからと探しに行ってくれて、「やっぱりなかったわ」と戻ってきて、泣くところがリアルでした。
ともあれ、ちょっとずつロレンスが元気になっていってくれてよかったと思います。
海辺にいるのは、サシャでもゾエでもなく、イーダなんですね。
ラストの浜辺のシーンより、二人で手をつないで道路を走るシーンが印象に残っています。