シネマの前で待ち合わせ

元TSUTAYAスタッフが映画のあらすじや感想を備忘録をかねてつづっています

切なさ満開【映画感想】ソローキンの見た桜

試写会にて鑑賞。

f:id:fu2uki:20190222021619p:plain

ロシア語タイトル:Вплену у сакуры 「桜にとらわれて」.

 

【あらすじ】

現在。地元のロシア人墓地を取材していたTVディレクターの桜子は、先輩の倉田にソローキンの墓がないことを教えられ、ロシアへの取材に同行することを頼まれる。

いまいち乗り気ではなかった桜子だが、家で祖母に先祖のゆいの日記を見せられる。

日記を持ってロシアに渡った桜子は、祖母からある事実を告げられる。

そして、二人の日記を追っていくうちに、彼女のルーツが見えてくる。

 

日露戦争時代。日本の捕虜となったロシア兵捕虜、ソローキンを手当てすることとなったゆい。

ゆいの弟は戦争で亡くなっているため、複雑な思いを胸に抱いていたが、そのうちにソローキンに惹かれていく。

ロシア革命のために祖国に戻らなければいけないソローキンは、ゆいを連れて脱走し、ロシアに戻ろうとするが・・・。

 

【感想】★★★★☆

ロシア語タイトルは、「桜にとらわれて」といった意味のようです。

こちらのタイトルもいいですね。

「ソローキンの見た桜」も、とてもいいタイトルだと思います。

ラジオドラマが原作としてあり、南海放送で放送されたようです。

 

ソローキン役のロデオンがかっこよかったです。ロシアのディカプリオって感じ。

ゆい役の阿部純子さんもキリッとした美人さんでしたね。

所長役のイッセー尾形さんは、相変わらずいい味だしてました。

すっとぼけた感じがなんとも言えず、ナイスキャスティング。

この人は、軍服姿がやたらと似合うんですよね。

昔の人の顔なのかも。

ボイスマン大佐役のアレクサンドル・ドモガロフ氏はロシアの名優らしく、舞台挨拶でイッセー尾形さんが「(彼に比べると)僕の小物感がすごかった」とおっしゃってました(笑)

 

ストーリーはわかりやすいロミジュリ的な話なんですが、史実を元にしているそうで、なかなか切ないです。

でも、わりと明るく描いていて、イッセー尾形さんの存在のせいか、笑いが起こるシーンもありました。

松山の桜や城の風景は本当にきれいで、サンクトペテルブルクの街並みも美しく、とてもいい対比だったと思います。

収容所として寺に捕虜が収容されているのですが、寺にロシア人というなんとも言えない組み合わせが新しく、それでいてなんとなくしっくりくる感じがしました。

欲を言えば、もっとサンクトペテルブルクの街並みが見たかったです。

 

残念だったのが、BGMが大きすぎたのか、会場の音響のバランスのせいか、会話が聞き取りにくいところがありました。特に倉田の声が。

特にBGMいらないんだけどなって思ってしまいました。

 

この先は、ネタバレになってしまうので、

未鑑賞の方はご注意ください。

文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、

反転させて読んでください。

 

どこまでが実際にあったことなのか、どこからが脚色なのかがわからないのですが、一番男前だったのは、後にゆいの旦那さんになった人ではないでしょうか。

ソローキンとゆいの娘ごと受け入れるなんて、懐が大きすぎてもう・・・。

ほんの少ししか登場しないのに、おいしいところ持って行ったなぁと思いました。

 

ゆいの手紙がソローキンの死後にしか届かなかったなんて、それもまた切なかったです。

ソローキンは、娘がいたことはおそらく知らずに亡くなったのでしょう。

ソローキンとともにゆいがロシアに渡ろうとしたら、許可証はなかったと思うので、この脱走は成功しなかったかもしれません。

そう考えると、ゆいの決断も正しかったと思えますが、やっぱり切ないです。

ソローキンを死亡したとして、捜索を中止にした後、ボイスマン大佐がやってきて、二人でたばこを吸うシーンがよかったです。

あと、正露丸とこんにゃくのシーン。

ちゃんと食べるところがえらいですね。

戦時中だから、粗末にできなかったのかもしれません。