後味もブラック【映画感想】ゲットアウト
DVDで鑑賞。
【あらすじ】
アフリカ系アメリカ人のクリスは、恋人のローズの実家に招待される。
ローズも家族もみんな白人のため、歓迎をうけても居心地の悪さを感じるクリス。
使用人の黒人たちは、情緒不安定だったり、変な行動をとったり・・・。
一晩明けて、パーティーが始まり、白人の数はさらに増え、それとともに
居心地の悪さと違和感も増え、クリスはだんだんと追い詰められていく・・・。
【感想】★★★☆☆
オープニングから、嫌な感じがてんこ盛り。
「サイコホラーにミステリーソースをかけて」といった感じの作品。
私は日本で生まれた日本人なので、外側からしか黒人に対する人種差別を
見られないのですが、その心理に少しだけ触れることができたような気がします。
黒人と白人の会話やその場の空気がアメリカでは「あるある」な場面
なんだろうなぁと思いながら見ていました。
ミステリーとしてもうまくできてる。
からくりに気づいたときに伏線がうまく働いていました。
ただ、いろいろとえぐい。
観た人がそう言っていたので、かまえて見始めたけれど、やはりえぐい。
よくできてる作品だし、人種差別批判としても良作だと思いますが、
後味がブラックコーヒーのように苦いのが星3つの理由です。
ブラックコーヒーというより、いっそエスプレッソ。
この先は、ネタバレになってしまうので、
未鑑賞の方はご注意ください。
文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、
反転させて読んでください。
「何かがおかしい」雰囲気や居心地の悪さの作り方が「インビテーション」
という映画に似ています。
実家に向かう道中に動物を車でひいてしまう描写も同じ。
鹿が心理描写に使われるので、海外ドラマの「ハンニバル」っぽさもありました。
それより、催眠術って本当にあんな風に人を操れるものなんでしょうか。
ティーカップとスプーンだけで人を操れたら最強で最恐です。
クリスが階段をのぼって行ったあとに、招待客の白人たちが動きを止める
シーンが印象的。
ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの「いかさま師」という絵を思い出しました。
ビンゴ大会かと思ったら、競りだし。
ここまでくると一周まわってなんだかおもしろくなった。
タイトルの「ゲットアウト」もわかりやすい。
「出ていけ!」と言うより「逃げろ!」って感じですね。
ローズも味方ではないとわかるシーンもサラッとしていてよかったです。
それなのにローズを連れて家を出ようとするクリス。
本当にローズを好きだったんだとわかり、せつなく、不憫です。
そして、ローズの「良い彼女」の演技がうますぎて怖い。
冒頭の警察にキレるシーンがここで生きてきます。
あんなに黒人の味方だったのに!
クリスの友人のロッドの存在が唯一のオアシス。
行動力が半端なく、友人のクリスを本当に心配しているのがわかりました。
良い仕事ができる男です。
最初から最後まで、じわじわ怖い。
びっくり箱のような驚かせ方はありませんが、オチがわかってからも
さらに怖い作品でした。
インビテーションの感想