チラリズムとホラー【映画感想】ジェーン・ドゥの解剖
【あらすじ】
バージニア州の田舎町のある家で、身元不明の遺体が発見された。
親子で検視官をしているトミーとオースティンのもとに運ばれたその遺体は
一切の外傷がないにも関わらず、両方の手首と足首の骨が砕かれ、舌や歯は抜かれ、
肺は内側から真っ黒に焼け焦げていた。外は嵐。解剖を進めていくたびに
不可解なことが起こり始める。
【感想】★★★★★
文句なしに5つ星です。途中で、一人で見始めたことを公開したくらい怖くなりました。どうせ、この遺体が起き上がったりするんでしょ?と思った方、はずれです。ジェーンちゃんは、今にも起き上がりそうなくらい綺麗な遺体なのですが、終始遺体のままなんです。それは、すごくいい演出だと思いました。それなのに恐ろしいことが次々に起こるんだから。
そして、最も評価すべきなのは、その恐ろしい現象がどれもはっきりとではなく、
チラッチラッと表現されることです。ホラーとチラリズムは相性がいいんですね。
話が前後しますが、設定もいいです。謎だらけの遺体解剖、外は嵐。ちょっとした密室です。監督は「トロール・ハンター」のアンドレ・ウーヴレタル。これを観て、「トロール・ハンター」も観たくなりました。
だんだんとわかっていくジェーンちゃんの正体もミステリのようで、ひとつの見どころです。遺体安置所を舞台にしたホラーって、作りやすいように思いますが、初めて観ました。これは、ほとんどのシーンが遺体安置所で、登場人物も少ないのでかなり低予算だと思うのですが、そんなことおかまいなしに怖くてオススメです。
この先は、ネタバレになってしまうので、未鑑賞の方はご注意ください。
読むときは、反転させて読んでください。
ドアの下のすきまから見える足だったり、廊下にある凸面鏡
(道路に設置されているようなバックミラー)にうすぼんやりたたずむ人影
だったりと、ハッキリとは映さない演出がとても怖く、いい感じでした。
いつの間にか遺体をいれておく棚(?)のドアが開いていたりと、定番なんですが、それがいい。
ラストでわかるいくつかのこともかなりツボでした。
実は、ずっと晴れていたとか、ラジオのあの曲もジェーンちゃんのせいとか、
最初に遺体がみつかった家の人々も同じような状況になっていたこととか。
特にずっと晴れていたことは予測できず、びっくりしました。
そういえば、序盤では嵐の様子は全然なかったなと。
オースティンの彼女が全くぬれずに、ふつーに来ていたわけもわかりました。
それが少しひっかかっていたんですよね。
オースティンに逃げようと言われても逃げ出さなかったトミーが最終的に逃げ出すこと
になったときに、切羽詰まった感が出ていてよかったです。
もう少し早く逃げていれば助かったでしょうか・・・?