シネマの前で待ち合わせ

元TSUTAYAスタッフが映画のあらすじや感想を備忘録をかねてつづっています

ああ、無情 【映画感想】インファナル・アフェア

DVDにて。

f:id:fu2uki:20191025034703j:plain

原題:無間道

 

【あらすじ】

青年ラウは香港マフィアにはいってすぐにボスによって警護学校にスパイとして送り込まれる。青年ヤンは優秀であったが、突如「警察学校の規律を破ったから」として、退学処分となる。実は退学はカムフラージュで、警視に能力を認められ、マフィアにスパイとして潜入させられたのだが、立ち去るヤンをうらやましそうなまなざしで見つめるラウ・・・。

10年後、麻薬取引が行われることになったが、それぞれの活躍により警察は事前にその情報を、マフィアも警察の包囲網の情報をつかみ、逮捕も取引も失敗に終わる。

そして、スパイの存在が双方にとって明らかとなってしまい、ラウとヤンの対決が始まる。

 

【感想】★★★★★★

今これシリーズ第二弾ですね。

だいぶ前から存在は知っていた作品ですが、マフィア映画は食わず嫌いをしていたので、スルーしちゃってました。

(流れとしては、シャッターアイランドマーティン・スコセッシ→ディパーテッド

インファナル・アフェア ってところです。

ディパーテッドインファナル・アフェアのリメイクで、さらにダブルフェイスもそうだと知ったらもう見らずにはいられませんでした。)

 

でも、見たらやっぱりヒットしただけのことはある!と思いましたね。

ラウもヤンもかっこいいし、ストーリーも無駄がなくて最高。

急に出てくるケリー・チャンにも見とれました。

 

原題は仏教用語の無間道という言葉ですが、無間地獄を意味し、「絶え間無く責め苦にあう地獄」とのことらしいです。調べると「完全な悟りを開くに至る四つの段階の第二」とも出てきますが、こちらではない様子。

邦題を直訳すると「地獄の出来事」ですね。

「内部捜査」を意味する「インターナル・アフェア」とかけているようです。

インファイナル・アフェアのほうが、無間地獄よりわかりやすいし、内容としてもあっている気がします。

もちろん、二人の日々、特にヤンの潜入生活は地獄のようなものだったと思いますが。

 

ラウもヤンも似たような立場なのに、対照的な部分もあって興味深かったです。

ただ、ラウはどうやって恋人と出会ったのでしょう。警察と作家なんて接点なさそうなのに。

 

ラウ派かヤン派に分かれると思うのですが、私はどっちとも決めきれません。

ラウは、見ているうちに「渋い・・・」ってなりましたし、ヤンは最初から惹かれる感じがしました。

どちらも、どストライク!ってことではないのかもしれませんが、連続三振は間違いなしです。

私が勧めてこの作品を見た友人は、「ヤンが西島秀俊に見えて仕方なかった」と言っていましたが。

 

ストーリーはよく考えられていて、若いころの二人を別の役者さんが演じていることもあり、ちょっと混乱しましたが、次第にわかってきました。

それから重要な伏線のシーンがわかりやすかったです。

監督の「伏線ですよー。覚えておいてねっ」って声が聞こえました。

 

この先は、ネタバレになってしまうので、未鑑賞の方はご注意ください。

文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、反転させて読んでください。

 

ヤンには幸せになってほしなぁと思いながら見ていたので、エレベーターのシーンは衝撃でしたね。

あんなにあっさりやられてしまうなんて。

これはまさに地獄の出来事・・・って思いました。

最後には殉職となったので、多少救われましたが、それにしても報われなさすぎる・・・。

ウォン警視の殉職も地獄の出来事でした。

しかも10分も痛めつけられてたなんて。

ここで、ウォン警視がヤンに誕生日プレゼントとして時計を渡すシーンが生きてきます。

 

私はどうしても、ヤンの方に感情移入してしまいます。

どちらも命がけの潜入捜査だけど、危険度はどうしてもヤンの方が高い。

身分がばれてもラウは捕まるだけで、ヤンは必ず殺されるでしょう。

それに、もともと悪い人がいい人を演じるほうが、善人が悪人を演じるより精神的に楽な気がします。

途中まで恋人と幸せそうに暮らしてますしね。

最後も結局バレることなく善人側にシフトできてしまうわけで。

ラウ視点ではわりとうまくいったハッピーエンドですよね。

 

この後、ダブルフェイス、ディパーテッド無間序曲終極無間を見ていこうかと思っています。

クローンの秘密?【映画感想】ジェミニマン

スペシャルシート(試写会)で鑑賞。

f:id:fu2uki:20191019224208j:plain

 

【あらすじ】

政府に依頼され、テロリストなどの悪人を暗殺するスナイパー、ヘンリー。

大きな仕事を終えた後、引退を決意する。

しかし、その直後、何者かによって襲撃される。

追われるうちに違和感を感じるヘンリー。鏡に映った襲撃者は、自分の若いころと

そっくりだった・・・。

 

【感想】★★★☆☆

試写会にお呼ばれしたので行ってきました。

久しぶりに六本木のTOHOに。

 

最初の監督とウィルとプロデューサーの会見がそこそこおもしろかったですね。

内容を書いたものが配られていたので、読んでしまっていましたが、読まなかったらもっと楽しかったと思います。

 

ウィルのアクションは相変わらずすごくて、特にバイフー(カンフーじゃなくてバイクの格闘技)がとても見ごたえがありました。

若いウィルはCGで、後からウィルが演技をつけたとのこと。

何をどうしてるのかいまいちわかりませんが、フルCGだとしても、全然違和感がなく。

ただ、3Dだったのですが、これは2Dでもいいかなぁといった感じ。

出始めのころよりは格段に見やすくなったのですが、やっぱり違和感があるので。

 

ヒロインは、ヘンリーを監視するアメリカ国防情報局の潜入捜査官ダニー。

途中で離脱することもできたんじゃないかと思うんですが、それは言いっこなしですかね。

かわいらしいくせに、なかなか強くてよかったです。

序盤はアクションもあるんですが、尻つぼみだったのでもっと活躍してほしかったな。

 

見終わった後は温かい気持ちになりました。

ちょっとヒューマンドラマが入ってますが、全体のストーリーは普通です。

チラシとかと一緒に、クローンに関する秘密はネタバレしないでくださいって書いた紙を渡されたのですが、何が秘密なのかわからない・・・。

若いウィルがクローンなのは見る前からわかってるし・・・。

 

この先は、ネタバレになってしまうので、未鑑賞の方はご注意ください。

文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、反転させて読んでください。

 

スナイパーだけど、普通に接近戦が多くて、最初のシーンだけがスナイパーらしかったです。

あと、家を襲撃されるところくらい。

 

でも、暗殺される理由がいまいち明確ではないですよね?

何かに気づいたっぽいから殺しておこうって感じで狙われてる気がします。

 

若いウィルは、ヘンリーを殺そうとしますが、ヘンリーは若いウィルであるジュニアをなんとか助けようとするのがいいですね。

ジュニアが蜂の毒をヘンリーに打つ必要性もよくわからず。

なんで体質確認したかったんだろう?

 

若いウィルの顔もCGみたいですね。

もっと若いウィルが出てきますが、どうしてるんだろ。

一番若いウィルの登場は予測できますが、ヤマカシっぽい動きがすごかったなぁ。

 

いろんな場所に飛んでいくのでそこもひとつの見どころですね。

この結末は読めない【映画感想】シャッターアイランド

DVDにて。

f:id:fu2uki:20190905001940j:plain

 

【あらすじ】

舞台は1954年9月。精神を病んだ犯罪者を収容する病院があるシャッターアイランド連邦保安官のテディは相棒のチャックとともに、脱走した女性、レイチェルの捜索に向かう。

3人の子供を湖で溺死させた罪で収容されていたレイチェルだが、失踪の足取りはほとんどつかめず、靴も履かずに消えた様子はまるで施設の部屋から蒸発してしまったようだった。

テディは彼女の部屋で「4の法則」と「67番目はだれ?」というメモを見つけるが、誰も意味がわからない。主治医のシーハン医師が自分たちと入れ替わりで休暇を取っていると聞いたテディは彼を怪しんで、患者たちに聞き込みを始めるが・・・。

 

【感想】★★★★★

今これ?と言われそうな作品ですが、見逃していたんですよね。
もっと早く見ておくべきでした。

最初から何が伏線なんだろうと考えを巡らせながら見ていましたが、これは読めなかったです。
振り返って考えてみると、ヒントはあるんですよね。
でも、これだけのヒントで真相にたどり着くのは難しいです。

 

印象に残ったのは、初めてテディとチャックが施設を訪れたときの音楽。
クラシカルな感じで耳に残りました。
その後も、何度か繰り返し使われていたと思います。

 

施設の人たちは、院長を始め、みんな怪しげ。
コーリー院長もほかの医師も警備副隊長も、いいキャスティングだと思いました。

 

以下、物語の核心には触れませんが、ちょっとネタバレ気味の感想です。

ご注意ください。

 

二人が施設に入ってすぐに庭で「シー」という仕草をした老婆がとても怖かったです。
見ていればすぐにわかりますが、描写がわりとホラーですよね。
ぼく、死んだ人が見えるんだ。って感じで、ほぼシックスセンス状態ですから。
幻覚だということは、テディ自身も見ている側もわかるのですが。

 

それから、警備副隊長が車に乗りながらテディに神様と暴力の話をするのですが、そのシーンはなんだか小説を読んでいるような感覚がしました。
小説というより聖書の一節といった方が近いかもしれません。
確かに、神様は暴力が好きだなぁと。

 

この先は、ネタバレになってしまうので、未鑑賞の方はご注意ください。

文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、反転させて読んでください。

 

これも、コクソンのように色々な考え方ができる作品ですね。

大きく分けると2通りですが、細かいところは考察のしがいがあって、面白い。

どうやら公式では、テディは病気説が正しいようですが。

施設の陰謀説も魅力的ですが、病気説ほうがピースがぴったりはまるので、それが正解なのでしょう。

 

ヒントは散りばめられてるのに、施設やそこの人たちの怪しさや、事件そのもの、テディの幻覚などが隠れ蓑になって、全然真実が見えてこない作りになっていることにうなりました。

視線やセリフにいくら注目しても、難しいと思います。

一番のヒントだと思ったのは、ドロレスは煙をすって死んだはずなのに、テディが見る幻覚の中でお腹から血を流していたこと。

 

特筆すべきは、レイチェル役のナースの演技。

仮に学生時代は演劇部だったとしても、うますぎでしょう。

いくらほぼ毎日、精神を病んだ囚人たちと接していても、あそこまでうまく模倣できません。

 

灯台でコーリー院長とチャックにネタあかしをされるテディのシーンでは、あんな風に追い詰められたら、正常であっても「自分は精神を病んでいるのかも」と思ってしまいそうです。

唯一の味方だと思っていたチャックがあちら側だと知ったら、精神的にかなりのダメージを受けそう。

 

ラストのセリフはとても意味深で、テディの気持ちやそれを受け止めるシーハン医師の心情を考えると何とも言えない気持ちになります。

ラストの灯台のシーンは忘れられません。

バッドエンドだろうけど、完全にそうとも言えないような・・・。

 

学者みたいな顔してるのに、スコセッシ監督抜け目なしです。

喪失の乗り越え方 フランス風【映画感想】サマーフィーリング

Jack&Bettyにて。

f:id:fu2uki:20190827200758j:plain

原題:Ce sentiment de l'été

【あらすじ】

夏のある日、突然の死がサシャを襲う。この出来事は、サシャの恋人ロレンスと妹のゾエを出会わせる。悲しみに包まれる二人。そして、その家族、周りの人々。

気持ちの整理がつかないまま、ロレンスは日々を過ごす。

「乗り越えられそうにない。君はどうやって乗り越えるの?」

 

【感想】★★★☆☆

平日に見に行ったのですが、結構人が入っていました。8割くらいは埋まっていたかと思います。

音楽と映像を楽しむ雰囲気重視の映画といった感じでした。

 

原題通りに訳すと「夏の感情」といった感じでしょうか。

もしくは「夏の感傷」かな。

私が邦題をつけるなら、「夏の喪失」にするかなと思いました。

 

ストーリーは、複雑ではなく、急死するサシャを見せた後は、ほとんど説明なしにロレンスとゾエの日常が描かれていきます。

葬儀の様子とか、サシャの死因とかそういったものはバッサリカット。

いさぎよくていいですね。お涙頂戴な感じもなくて。

 

サシャとロレンスはベルリンに住んでいたのですが、ロレンスはドイツ語は話せないと言っていたようでした。

英語だけでもベルリンで生活できるものなのでしょうか。

ちょっと不思議に思いました。

サシャとその家族はフランス人のようで、ロレンスはたぶんアメリカ人のようでした。

2人の部屋から見えるタワーも気になりました。

ベルリンにあんなタワーがあるんですね。

あのタワーが見えるだけで家賃が違いそうって思うのですが、そういったことって日本だけじゃないですよね?

 

街中や別荘地に日差しを浴びる人たちが繰り返し出てきて、ヨーロッパの人たちは、日光浴が好きなんだなってよくわかります。

夏を描いた作品なので、夏のシーンが多く、スクリーンの中は日差しがいっぱいなのですが、ロレンスの心にはその日差しが届いていないようで切なくなります。

フィルムのせいか、霧雨が降っているように見えた場面がいくつかありました。

晴れた場面だったので、意図されたものではないと思います。

 

淡々とロレンスとゾエのその後の生活を映し出していく感じで、場面が切り替わるとロレンスがニューヨークに移住していたりします。

もっと早く移住してもいい気がするのですが、そういったことは人それぞれのタイミングなのでしょうね。

 

この先は、ネタバレになってしまうので、未鑑賞の方はご注意ください。

文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、反転させて読んでください。

 

ロレンスとゾエが最初に会うシーンはどちらかというと、再会した二人に見えたのですが、あらすじを読むと初対面だったようです。

ゾエはサシャと似ていたかな。

私は、そうでもないように感じましたが、ロレンスは似ている何かを見ていたようです。

ゾエは、とてもキュートで、どうみても息子がいるようには思えませんでした。

 

二人が悲しみを共有して一緒にいるようになるのかと思ったらそうでもなく。

ゾエは夫と別居中で、そうなるフラグが立っていたのにも関わらず。

「それをしたらハリウッド的になっちゃうから」とお連れ様が言っていて、それもそうだなって納得しました。

ハンニバルが、「共通の悲しみは二人の距離を縮める」(うろ覚え)と言っていたことを思い出しながら見ていましたが。

 

ロレンスがサシャの私物をアートセンターに取りに行くのですが、サシャの友人がレモンペーストをまだ残ってるからと探しに行ってくれて、「やっぱりなかったわ」と戻ってきて、泣くところがリアルでした。

 

ともあれ、ちょっとずつロレンスが元気になっていってくれてよかったと思います。

海辺にいるのは、サシャでもゾエでもなく、イーダなんですね。

ラストの浜辺のシーンより、二人で手をつないで道路を走るシーンが印象に残っています。

f:id:fu2uki:20190827210543j:plain

ハラドキできなかった【映画感想】ミッション・15

DVDにて。

f:id:fu2uki:20190827191943j:plain

原題:EVENT 15

 

【あらすじ】

PTSDの治療を受けている3人の帰還兵、ホワイト、ディエゴ、オールズマンは、ワシントンにある医療施設でのカウンセリングの帰りにエレベーターに乗り合わせる。

降下する途中で衝撃を受け、エレベーターが止まってしまう。混乱しながら外部と連絡を取ろうとするが、いつ救助がくるかわからない。そのうちに、3人はワシントンが爆弾によって攻撃を受けたことを知る。

 

【感想】★★☆☆☆

主な舞台はエレベーター、登場人物6人というかなりコンパクトな作品。

最初からオールズマンがかなり不安定な感じで、危険因子なにおいがします。

3人のカウンセリングの様子とエレベーターの中でヤンヤンする様子が切り替わりつつ話は進んでいくのですが、あまりハラハラはできず。

たぶん、途中で狙いがわかるし、展開もそこまで読めないわけではないからでしょう。

 

予備知識はないほうが楽しめると思うので、以下ネタバレ感想にします。

 

この先は、ネタバレになってしまうので、未鑑賞の方はご注意ください。

文字色を薄くしてあるので読みにくいときは、反転させて読んでください。

 

タイトルは、ミッションと言えばミッションなのかもしれないけれど、あまりピンときません。

かと言って、イベント15も微妙なので、ミッション15のほうがいいのかな。

レベル15だと違う映画になっちゃうしなってところ。

暇なときに1.5倍速くらいで見るのがちょうどいいかも。

 

コントロール室(?)の医師が、途中で「屋根の上は安全だ」といったセリフを言うのですが、エレベーターの中には正気を失ったオールズマンがいるのに・・・。

ちっとも安全じゃないでしょ。

そのオールズマンは、なぜホワイトがいるうちにエレベーターの上に登ってこないのかちょっと不思議でした。

ビビってるだけ?薬を餌に引きずり下ろそうとはするのに。

と、思っていたのですが、上に登ろうとしたら、ホワイトにモグラたたきのようにピコピコされてしまうからですね。

よく考えたらわかりました。

 

そして、カメラの位置が笑ってしまうほどわかりやすい。

あんなに存在感がある隠しカメラあります?

上に登った時点で絶対に発見されます。

バイタルはどうやって測っていたんでしょう?

遠隔でも正確に測れるのでしょうか?

 

ホワイトは結局ワイヤーを登りきってしまうわけですが、エレベーターの中の扉も外の扉もあんなに簡単に開くものなんでしょうか。

生存者が出たらだめな実験なんだから、もっと厳重に出られないようにするべきでは?

 

どうもツッコミばかりになってしまいます・・・。

 

ラストは、一応ハッピーエンドな感じなのでしょうか。

ディエゴも助かったらよかったのになって思いました。

でも、車の中にディエゴいなかった?気のせい?

 

ホワイトのPTSDはよくなったのでしょうか。

気になるところです。